おもいで星がかがやくとき(5歳~)

絵本

作:刀根里衣 出版:NHK出版

大切な人がお星さまになった時。

そのお星さまに会いに行くことに決めました。

大切な人との思い出の場所を巡りながら。

あらすじ

ネズミの女の子ピナを置いて、その人はいなくなってしまいました。

ピナの仲間たちは、「大切な人は、お星さまになって、きみのことを見守っているんだよ」と言います。

それを聞いたピナは、「そのお星さまに会いに行ってくる」と、歩いていきました。

やってきたのは、二人が一緒に泳いだ海。

魚にお星さまのことを聞きますが、もっと上の方を探してごらんと言われます。

次に来たのは、二人が一緒に遊んだ水辺。

カエルのお星さまのことを聞くと、もっと上の方を探してごらんと言われました。

その後も、かくれんぼをした花畑、一緒に歩いた池のほとりと探してみますが見つかりません。

そんな中、「この森で一番高い木に登ってごらん」と言われ、ピナは一番高い木に登ってみました。

一番高い木のてっぺんで、ピナはお星さまに聞きました。

「私のお星さまはどこにいるの?」と。

一番星が答えます。

「あなたが探している人はもうどこにもいないの」

それを聞いて、ピナは大切な人にもう会えないことを知りました。

悲しむピナに二番星が優しく続けます・・・。

ピナは、大切な人ともう会えないことを、受け止めることが出来るのでしょうか。

『おもいで星がかがやくとき』の素敵なところ

  • 小さな子が、大切な人の死を受け止める物語
  • いなくなっても、なくならないもの
  • 支えてくれる人の大切さ
小さな子が、大切な人の死を受け止める物語

この絵本では、小さなピナが詩を受け止める過程が描かれます。

仲間たちが、ピナを傷つけないように使った、

「お星さまになった」

という言葉を、素直に受け止め会いに行こうとするピナ。

思い出の場所を巡り、ついに星に辿り着きますが、そこでもう会えないことを知ります。

死んでしまったことに直面するピナ。

そこで、ごまかしたりせず、悲しみと正面から向き合っていくのがこの絵本の素敵なところ。

お星さまたちはピナに、悲しみの受け止め方、受け入れ方を優しく教えてくれます。

大切な人の死から目をそらさず、大切な一歩を踏み出す姿が、物語に悲しくも力強い魅力を与えているのだと思います。

その物語の中で、お星さまがとても大切なことを教えてくれます。

いなくなっても、なくならないもの

それは、その人はいなくなってしまっても、なくならないものがあることです。

いなくなってしまっても、その人が人生の中でやってきたことはなくなりません。

ピナを含め、色々な人の思い出として残っています。

いなくなってしまったから、全て終わりなくなる訳ではなく、生きた証を残しているし、残された人はたくさんのものを受け継いでいる。

でも、悲しみに飲み込まれると、忘れてしまいやすいことでもあります。

それを改めて思い出させてくれるのです。

また、そうは言っても一人で乗り越えるのは、とても難しいことです。

心が折れてしまうこともあるでしょう。

小さな子どもであれば、なおさらです。

そんな時に頼れるものも、この絵本は教えてくれます。

支えてくれる人の大切さ

それは周囲の仲間たち。

一人では心が折れそうな時も、支えてくれる人がいれば立ち上がれるのです。

この絵本には、ピナの姿を通して、

「悲しい時には一人で頑張り過ぎなくていいよ」

と、肩を支えてくれるような優しさを感じるのです。

二言まとめ

小さなピナが大切な人の死を認めていく姿を通して、思いきり悲しんでいいことを教えてくれる。

それと同時に、悲しい時に忘れてしまいがちな大切なことも、思い出させてくれる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました