作:よしながこうたく 出版:小学館
ある日、太陽と月がぶつかって合体してしまった!
朝と夜がくっついて、起きるか寝るかもわからない。
でも、これはこれで・・・悪くない?
あらすじ
ある日の夜明け前。
月が雲に絡まって、沈めなくなっていた。
そこへ朝の太陽が昇ってきたから大変だ。
昇る太陽と、沈む月がぶつかって、二つはくっついてしまった。
それに見とれた、朝を告げるニワトリと、夜を告げるオオカミもぶつかって合体。
一緒になって飛んでいってしまった。
朝と夜がくっついて、オバケたちは帰り損ねた。
時計だって、朝か夜かわからない。
そんな世界で子どもたちは歌って踊って大騒ぎ。
大人たちは寝ながら歩く。
動物たちも寝ながら鼻風船を出している。
夢のようなこの世界。
一体どうなってしまうのでしょう?
『ワオコッコ』の素敵なところ
- 朝と夜がくっつくという壮大で奇想天外な世界観
- まるで夢の中にいるような楽しさと気持ちよさ
- 唐突な終わりと気になる行方
朝と夜がくっつくという壮大で奇想天外な世界観
この絵本は、最初からクライマックスです。
月と太陽がぶつかって合体するという大事件。
さらには朝と夜がくっついてしまうという、世界の大改編まで起こってしまいます。
もうその段階で、この世界観に引き込まれること間違いなし。
「どうなっちゃうの!?」と気にならないはずがありません。
でも、まだまだブレーキはかかりません。
オバケは出るし、時計はおかしくなってるし、寝ながら歩き出すし・・・。
見れば見るほど、予想外で、面白くて、不思議で魅力的なのです。
この唯一無二の世界へ足を踏み入れられるのが、この絵本の一番の魅力だと思います。
まるで夢の中にいるような楽しさと気持ちよさ
さて、そんな世界を歩いていると、段々気持ちよくなってきます。
まるで夢の中にいるような、フワフワと宙に浮かんでいる感じ。
寝ているような、起きているような、その中間にいるような非現実感。
この感覚を味わえるのも、素敵なところの一つです。
最初は現実感のある活動的な場面から、徐々に夢の中様なフワフワと穏やかな場面へと自然に移行していくためかもしれません。
最初はドキドキワクワクだったのが、気付けばユルユルフワフワへと変わっているのです。
唐突な終わりと気になる行方
そんなユルユルフワフワな状態から、急に最後の場面が訪れます。
それは夢を見ている時に、時計のアラームに起こされるかの如く。
このメリハリもまた、本作のとても面白いところです。
でも、よく考えると、その後どうなったのかわからない存在がいるのに気が付きます。
「彼らは世界が元に戻った後、一体どうしたのだろう・・・」と。
その後の彼らについて、考えてみるのも面白いかもしれません。
二言まとめ
朝と夜がくっついてしまうという、不思議で奇想天外なこの世界。
そこに足を踏み入れることで、想像の世界がグンと広がっていく絵本です。
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