文:きたやまようこ 絵:アンドレ・ダーハン 出版:講談社
一年生になったお月様。
期待を膨らませ登校しますが、子どもたちは誰も本当の月だと信じてくれません。
悲しみに暮れるお月様でしたが・・・。
あらすじ
今日から、お月様は一年生です。
お月様はいつも一人だったので、学校に行くのが嬉しくてたまりません。
学校にはたくさんの友だちがいました。
みんなで朝の挨拶をしたり、教室を見て回ったり。
そして、自己紹介の時間になりました。
お月様も自己紹介しましたが、子どもたちは本当の月だと信じてくれませんでした。
お月様は悲しくて、泣きながら帰りました。
夜が過ぎ、朝になっても、お月様は学校に行きたくありません。
でも、お月様は思い出しました。
今日の日直が自分だということを。
お月様は学校に行くことにしました。
お月様は、楽しい学校生活を送ることが出来るのでしょうか?
『おつきさまはいちねんせい』の素敵なところ
- 一年生になるドキドキ感とワクワク感
- 前向きに自分の出来ることをするお月様
- お話にピッタリな優しく温かい絵
一年生になるドキドキ感とワクワク感
この絵本を読んで、なによりも伝わってくるのが、一年生を楽しみにするドキドキとワクワクの入り混じった気持ちです。
目覚まし時計の音で、嬉しそうにベッドから飛び起きたり、ランドセルを背負った姿を鏡で確認したり。
そのどれもが、ワクワク感を隠し切れず、早く学校に行きたい気持ちが伝わってくるのです。
新しい友だちとの出会いも楽しそうで、花に動物、人間など、色々な子と、話したり歌を歌ったりと、新しい環境を思い切り楽しむ様子が感じられます。
でも、気持ちの変化が訪れます。
前向きに自分の出来ることをするお月様
自己紹介で、誰も月だと信じてくれなかったのです。
悲しみに暮れるお月様でしたが、日直だということを思い出し、なんとか学校に行くことに。
ただ、そこでお月様のしたことがとっても素敵。
悲しい気持ち、行きたくない気持ちに負けることなく、自分の出来ることはなにかを考え行動するのです。
そして、その行動が楽しい学校生活の第一歩となっていきます。
その強さや、行動の優しさが、見ている人にも強さや優しさ、勇気や元気をくれるのです。
お話にピッタリな優しく温かい絵
さて、そんなお話をより魅力的にしてくれるのが、この優しく温かい絵です。
当たり前のように、色々な種族が、一緒に学校に通う姿。
落ち込んだ時に、痛いほど伝わってくる悲しみ。
悲しい気持ちを気遣う心配そうな表情。
そのどれもがとても自然に、穏やかに伝わってきます。
優しさも、悲しみも、楽しさも、全てがスッと心に入ってくるのは、この優しく温かな絵の力なのだと感じます。
二言まとめ
お月様の姿を通して、一年生の楽しさと、新しいところだからこその難しさの両方を感じる。
それを乗り越える強さ、周りの優しさ、学校の楽しさなど、色々な一年生を感じる絵本です。
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