ゆきのまちかどに(4歳~)

絵本

作:ケイト・ディカミロ 絵:バグラム・イバトーリーン 訳:もりやまみやこ 出版:ポプラ社

雪の降る中、路上で眠るオルガン弾き。

それを見た女の子は「寒くないのかな」「家に招待してあげられないかな」と思いました。

そんな純粋な女の子とオルガン弾きの心温まるお話です。

あらすじ

クリスマスが近づいたある夕暮れ、サルを連れたオルガン弾きが街角に立っていました。

近くのアパートに住む女の子フランシスは窓からオルガン弾きを眺めて、オルガンの物悲しい音色を聴いていました。

フランシスはお母さんにオルガン弾きたちが夜はどこかへ帰るのか聞いてみました。

でも、真剣に取り合ってはくれませんでした。

フランシスはその晩、眠らないようにしていました。

真夜中になると窓辺へと向かいました。

街角を見下ろすと、そこにはオルガン弾きが寝ていました。

次の日の朝、フランシスはお母さんにオルガン弾きが路上で寝ていることを話しました。

「うちに晩御飯を食べに来られないかしら」とも。

しかし、お母さんに断られてしまいました。

その日は教会でクリスマスのお芝居がある日でした。

フランシスも出演します。

教会へ行く途中、フランシスはオルガン弾きに駆け寄って、教会でお芝居があり自分も出るから来てねと伝えました。

オルガン弾きはフランシスに微笑みかけましたが、その目は悲しそうでした。

いよいよフランシスの出番ですが、オルガン弾きの姿は見当たりません。

教会でフランシスとオルガン弾きは会えるのでしょうか。

『ゆきのまちかどに』の素敵なところ

  • とても写実的な絵で描かれるヒューマンドラマ
  • 子どもの純粋な優しさと大人の常識のぶつかりあいがリアル
  • クリスマスの奇跡という納得感

この絵本の特徴は何と言ってもその写実的な絵でしょう。

写真かと思うほど、リアルに描かれた人物や町並み。

その中で描かれる人間模様はまるで映画を見ているようです。

それと同時に雪の降る街の幻想的なこと。

吸い込まれるように魅入ってしまいます。

絵だけではなく、物語の中のやり取りや伏線もとても自然でリアルです。

フランシスとお母さんのやり取りはまさに現実のそのもの。

フランシスの子どもらしい純粋な気持ちに、お母さんは大人の常識を返していきます。

普通だったら接点を持つことはないフランシスとオルガン弾き。

でも、伏線の張り方と、クリスマスの教会という要素がきれいにまとまり、物語の結末にとても納得感を持たせています。

絵もお話も物凄く丁寧に温かく描かれた絵本です。

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