作:高畠那生、鈴木のりたけ、よしながこうたく、新井洋行 出版:講談社
それぞれ特徴的な絵本作家の4人。
その4人が得意の絵でしりとりを始めました。
癖の強すぎるお絵描きしりとりの始まりです!
あらすじ
よしながこうたく、鈴木のりたけ、新井洋行、高畠那生の4人は、お絵描きでしりとりをすることにしました。
お絵描きしりとりのルールは
- 点々のつく音(濁音)と丸のつく音(半濁音)はそのまま使う
- 伸ばす音(長音)が最後の時はその前の音を使う
- 小さい音(拗音)が最後の時はその音だけ使う
- 最後に「ん」がつくと終わり
- 同じ言葉を2回使ってはいけない
の、5つ。
このルールを守らないと大変なことが起こるかもしれません・・・。
最初は「しりとり」の「り」から始めます。
どんどん続いていくしりとり。
でも、なんだかあのルールを破っているような・・・。
『おえかきしりとり』の素敵なところ
- 癖の強すぎる絵でお絵描きしりとり
- ほどよい難しさと試される推理力
- いいアクセントになっている物語性
癖の強すぎる絵でお絵描きしりとり
この絵本に出てくる絵本作家さん。
4人とも、絵を見れば一発でわかるほど、絵の癖が強い!
そんな4人の絵でお絵描きしりとりをするのだから、面白くならないはずがありません。
キツネは憎たらしい顔で鼻をほじっているし、
時計はなぜかビジネスマンの格好をして出勤時間を気にしているし、
金太郎の乗る熊は魔獣みたいだし・・・。
しりとりを置いておいて、絵の世界観が気になり過ぎるのです。
いや、しりとりじゃなかったら、何の絵かわからないものも多数。
しりとりでよかったとすら思います。
また、新井洋行さんのトーストンなど、他の絵本で見たことのある絵が出てくるのも楽しいところ。
「あ、これあの絵本だ!」
と、盛り上がります。
ほどよい難しさと試される推理力
さて、そんなお絵描きしりとりですが、癖が強いゆえに、中々一筋縄ではいきません。
- 「ぷ」から始まる言葉で、プリンがプロレスをしている場面
- 「く」から始まる言葉で、くのいちがくないを持っている場面
- 「う」から始まる場面で、宇宙人が浮き輪をしている場面
など、明らかに引っかけようとしている絵や、ちからこぶなど使い慣れない言葉も出てきます。
そこで試されるのが推理力。
「ん」がつくから違う。
わかる絵から、逆算して考える。
といった、推理作戦が重要となってくるのです。
このクイズのような楽しみ方も普通のしりとりとは違う、お絵描きしりとりのとても面白いところです。
いいアクセントになっている物語性
お絵描きしりとりだけで見ても、かなり面白いこの絵本。
しかし、この4人が集まって、普通にお絵描きしりとりをして終わるなんてありえません。
こっそり忍ばせていた伏線を、しっかり回収してきます。
最後の最後に、
「あ!そういえば!」
「ほんとだ!気付かなかった!」
と、驚きの展開を迎えるのです。
このクライマックスがあることで、しりとりの終わりがとても気持ちいいものになり、「終わったー!!!」という達成感を味あわせてくれるのです。
二言まとめ
癖の強すぎる絵を見ているだけでも楽しめる、大人が本気を出したお絵描きしりとり。
とても長いしりとりの果てに、まさかのクライマックスが待っている、物語としても面白いしりとり絵本です。
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