文:内田麟太郎 絵:松成真理子 出版:BL出版
ふっと頭に浮かぶこと。
現実的なことから、非現実的な空想まで。
ふっと思い浮かんだ絵本です。
あらすじ
空を見上げたゾウがふっと・・・。
鼻で雲にぶら下がる。
都会の高層ビルがふっと・・・。
富士山の頂上に横になる。
海を渡るツバメがふっと・・・。
町の電線に並んでとまる。
それを見てペンギンもふっと・・・。
電線にとまりまねっこをする。
ティラノサウルスがふっと・・・。
ふっと・・・。
『ふっと・・・』の素敵なところ
- 思い付きならではの唐突さ
- とても和む「ふっと・・・」たち
- 「ふっと・・・」思っていたのは誰だろう
思い付きならではの唐突さ
この絵本には、色々な「ふっと・・・」が出てきます。
急に頭に浮かぶ「ふっと・・・」。
それはとても直感的。
だから、脈絡もないし、非現実的なこともある。
そんな空想が、そのまま絵本になっているのが、とても面白く素敵なところ。
ゾウが雲にぶら下がっても、ビルが富士山の頂上で昼寝をしても、飛べないペンギンが電線にとまってもいいのです。
子どもたちも、唐突な展開に、
「えー!?ゾウが空飛んでる!」
「ペンギンは飛べないのに!」
と、最初は言っていましたが、「ふっと・・・」に慣れてくると、
「かわいい!」
「こんな風に出来たらいいよね」
と、空想に身を任せ、楽しむ姿も出てきました。
とても和む「ふっと・・・」たち
また、出てくる「ふっと・・・」たちが、どれも柔らかく、なんだか和むものばかりなのも素敵なところです。
刺激的なものはなく、大笑いするよりも、「ふふっ・・・」と、思わず笑ってしまうものばかり。
読んでいると、「ふっと・・・」肩の力を抜いてくれます。
のんびりゆったり、程よく脱力させてくれるのです。
「ふっと・・・」思っていたのは誰だろう
さて、絵本に出てくる色々な「ふっと・・・」。
でも、このふっとに主語がないのも、この絵本の面白いところです。
場面だけ見れば、ゾウやビルなどが「ふっと・・・」思っているみたい。
ですが、他の主語であることも考えられる作りになっています。
主語が変わると、この絵本の世界観も変わってきます。
そんな風に、少し含みがあり、思考の迷路に誘ってくれるのも、この絵本の素敵なところだと思います。
二言まとめ
脈絡も現実感もない「ふっと・・・」頭に浮かんが空想。
それがそのまま描き出されて絵本になった、不思議で楽しく肩の力が抜けてしまう絵本です。
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