作:酒井公子 絵:はんだみちこ 出版:国土社
日常に潜むオバケたち。
いや、実は全然潜んでいません。
そんなオバケたちが、数え歌とともに現れます。
あらすじ
ひとつ ひとめも きにせずに。
朝、出勤や通学の準備をしている家の中にもオバケは一杯。
宿題オバケに玉ねぎオバケ、お鍋の中にもオバケがいます。
ふたつ ふとした ひょうしで ほい!
朝の街並みにもオバケは一杯。
瓦屋根の隙間や、歩く子どもの影の中、ドラキュラが住んでる家も・・・。
みっつ みんなで あらわれて。
小学校の授業中、教室の中はオバケで一杯。
水槽から飛び出す金魚のオバケ、教科書にもオバケが乗り移っています。
よっつ 呼んでもいないのに。
休み時間の校庭も、やっぱりたくさんのオバケたち。
曲がる鉄棒、大きくなるボール、シーソーでバランスをとるガイコツまで。
いつつ いつでも そばにいる。
給食の時間になりました。
ここにもオバケたちが目白押し。
焼きそばオバケに、お鍋のオバケ、コップのオバケに野菜のオバケ。
むっつ・・・。
『おばけはどこじゃのかぞえうた』の素敵なところ
- 一日の生活とリンクする数え歌
- どこを見ても見つかる大量のオバケたち
- 遊びがたくさん詰まった絵本
一日の生活とリンクする数え歌
この絵本の面白いところは、朝一番に一つ目の数え歌が始まり。
数え歌の数字が上がるごとに、時間も過ぎていくところです。
そして、十で、一日が終わります。
数と時間がリンクしていることは、想像以上にワクワク感を盛り上げてくれ、
「家の外にもオバケがいる!」
「給食の時間まで!?」
と、いつまでも消えない元気なオバケたちを楽しみ、
「学校が終わってもいるのかな?」
など、先の時間を予想する楽しさにも繋がっている様でした。
もちろん、
「夜になったらどうなっちゃうんだろう?」
「眠れるかな・・・」
という、オバケならではの心配も・・・。
どこを見ても見つかる大量のオバケたち
そんな数え歌とともに、日常に潜むオバケたち。
いや、全然潜んでいません。
物凄く堂々と出てきます。
しかも大量に。
まさに「ひとつ ひとめも きにせずに」。
この量と種類が物凄いのも、この絵本の楽しいところ。
そのページに描かれる人間と同じか、それ以上の数のオバケたちがいるのです。
しかも、ただいるだけじゃなく、追いかけっこをしていたり、給食を取りに並んだり、こっそり手を伸ばしていたりと、それぞれの意志や、ストーリー性を感じられます。
ページをまたいで出てくるオバケも多く、
「あ、このオバケまたいる!」
「さっきは学校に行く準備してたのかな?」
など、どんなオバケなのか想像するのも楽しいのです。
遊びがたくさん詰まった絵本
さて、とても楽しいこの絵本。
楽しいのは数え歌だけではありません。
本当に色々な遊びが詰まっています。
各ページには、絵の中から特定のオバケを探す、オバケ探しが用意されていたり、本編と関係ないところにオバケあみだくじが用意されていたりと、楽しいことがこれでもかと詰め込まれているのです。
そのため、
絵本を開いて友だちとあみだくじを何度も楽しむ子。
自分たちでオバケ探しを作って遊ぶ子。
隅々まで見て、小ネタを探す子。
など、色々な遊び方、読み方をしているのが印象的でした。
二言まとめ
これでもかと、日常生活に溶け込み過ぎているオバケたちを見るのが楽しい。
数え歌だけでなく、もの凄くたくさんの「楽しい!」が詰まった絵本です。
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