ドライバーマイルズ(4歳~)

絵本

作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 出版:BL出版

とても手のかかる犬がいた。

でも、その犬はとても素直な犬になった。

そのきっかけは、自分で運転できる車を手に入れたから。

あらすじ

アリス・トラッジと、息子のノーマンは犬を飼っていた。

犬の名前はマイルズ。

とてもやっかいな犬だ。

呼ばれても来ない。

散歩もドッグフードも雨も嫌い。

うるさく吼えるし、他の犬を嫌がる。

でも、そんなマイルズのことを、アリス・トラッジとノーマンは大好きだった。

マイルズが本当に好きなのは、車で出かけ、丘の上のカフェに行くこと。

けれども、アリス・トラッジは、毎日のように、犬のためだけにカフェに行くのは嫌だった。

そんな時、お隣のハディさんが声をかけてきた。

マイルズにはマイカーが必要だと。

さらにハディさんは、犬用の車を作ってくれるという。

ハディさんは車を作り始めた。

毎日学校が終わると、マイルズとノーマンは車を見に行った。

そして、とうとうマイルズの車が出来上がった。

マイルズは何度も練習し、車の運転を覚えた。

ある朝、アリス・トラッジはノーマンを学校へ送っていけず、困っていた。

そこで、ノーマンはマイルズの車に乗り、学校へ送ってもらうことにした。

それ以来、ノーマンとマイルズは、内緒でドライブへ行くようになった。

朝日の海へ、緑の田舎道へ、秋の落ち葉の中へ、冬の雪の中へ。

次第に、マイルズは素直になった。

でも、段々と・・・。

『ドライバー・マイルズ』の素敵なところ

  • 優秀過ぎるハディさん
  • ノーマンとマイルズの2人だけの時間
  • 時の流れの悲しさと、明るさが混ざり合った最後の場面

優秀過ぎるハディさん

この絵本は、犬のマイルズがマイカーを手に入れる所から、物語が大きく動き出します。

その全てのきっかけが、お隣に住むハディさん。

的確にマイルズに必要なものを導き出し、さらには犬用の車を作ってしまうのです。

もう優秀過ぎて言葉も出ません。

子どもたちも、

「作れるのかな?」

と、疑問視していましたが、車が完成すると、

「本当に出来た!」

「かっこいい!」

「ハディさんすげー!」

など、その腕前にビックリ。

称賛の声が上がっていました。

ノーマンとマイルズの2人だけの時間

こうして完成したマイカー。

ノーマンのことを、学校へ送って行ったのがきっかけで、2人は内緒のドライブを始めます。

子どもと愛犬、2人でのドライブ。

この時間が本当に素敵。

ロケーションも季節も様々で、早朝の海辺、新緑の田舎道など、どれもが見開き1ページを使い、見晴らしの良い景色が描かれます。

こんなシチュエーションに憧れがないはずありません。

どんな話をしたんだろう?

海で遊んだりしたのかな?

など、色々な想像も膨らみます。

大人に邪魔されることもなく、好きなようにどこにでも行ける夢のような時間です。

時の流れの悲しさと、明るさが混ざり合った最後の場面

でも、どんなに楽しい時間でも、終わりの時は訪れます。

これだけのキラキラした時間だったからこそ、最後の場面の悲しさや寂しさが際立つのです。

けれども、悲しさや寂しさだけで終わらせないのも、この絵本のとても素敵なところです。

明るい希望も残してくれているのです。

その希望を抱かせてくれるのはやっぱりこの人。

ハディさんです。

ハディさんの行動をきっかけに、ノーマンとマイルズの明るく楽しいその後を、想像できる最後の場面。

この終わらせ方が、本当に素敵だなと思うのです。

二言まとめ

犬が運転し、子ども同士でドライブを楽しむという、自由で夢のような時間が楽しめる。

楽しく、美しい、その瞬間にしか味わえない輝きが詰め込まれた絵本です。

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