おそろしいよる(4歳~)

絵本

作:きむらゆういち 絵:殿内真帆 出版:すずき出版

怖いお話を聞いた夜。

怖さのあまり、中々寝付くことが出来ません。

そんな時、部屋のドアがギギギィ~っと開いて・・・。

あらすじ

静かに静まり返った夜。

子ブタがおうちで本を読んでいました。

と、突然電気が消えて、辺りは真っ暗。

その時、部屋のドアが空きました。

そして、足音が近づいてきます。

ドアからはキラリと光る牙が見え、子ブタはテーブルの下に隠れました。

足音はゆっくりテーブルの周りを歩きます。

足音がピタリとやみ、ゆっくりとテーブルの下に伸びてくる手・・・。

手が子ブタの耳に触れ、テーブルの下から引きずり出され、大きな口が迫ってくる。

子ブタは悲鳴をあげました・・・。

というところまで読んで、子ブタは本を閉じました。

本でよかったと思いつつ、子ブタはベッドにもぐりこみます。

と、その時。

電気が消えて、辺りは真っ暗。

ドアが空き、足音が近づいてきます。

ドアからはきらりと光る牙。

子ブタは慌ててテーブルの下に隠れました。

足音がピタリと止まり、テーブルの下に手がゆっくりと伸びてきます。

子ブタは思わず大きな悲鳴をあげました・・・。

そこで、目を覚ました子ブタ。

どうやら夢だったみたいです。

夢でよかった。

子ブタは安心して電気を消しましたが、怖くてなかなか眠れません。

と、その時。

ギギギギギギーっとドアが開くと・・・。

『おそろしいよる』の素敵なところ

  • 怖くて思わず息を呑む描写
  • 「怖い」と「よかった」のジェットコースターみたいな繰り返し
  • 本当に一番怖いものは・・・

怖くて思わず息を呑む描写

この絵本はタイトルの通り、王道ホラーの怖さが詰まっています。

見た目はとっても可愛い子ブタの絵本なのに、ホラー演出は本格的。

突然消える電気、恐ろしい闇、開くドア、忍び寄る足音・・・。

そして、すぐには襲いません。

ゆっくり、じっくりと時間をかけて、恐怖を限界まで高めてから、腕を伸ばしていくのです。

もう、この流れが面白いくらいに怖い!

初めての子も、何度も見た子も、思わず息をひそめます。

心に訴えかけてくる怖さ。

間違いなく、この絵本の素敵で面白い醍醐味でしょう。

「怖い」と「よかった」のジェットコースターみたいな繰り返し

でも、この絵本、さらに揺さぶりをかけてきます。

それが、「怖さ」と「よかった」の繰り返しです。

一度目は、読んでいる本の内容だったというオチ。

「なんだ、本だったのか・・・」

「ほんとじゃなくてよかった!」

と、子ブタも子どもたちも一安心。

しかし、すぐに第二ラウンドが始まります。

今度は本の内容ではありません。

一度目よりも、緊迫感が高まります。

だけど、まさかの夢オチです。

「なんだ夢か・・・」

と、一安心。

そこでまさかの第三ラウンド。

もう逃げ場はありません。

本でも夢でもないのですから・・・。

この、怖さと安心感のジェットコースターが面白い。

しかも、ジェットコースターは回を重ねるごとに怖さが増していくのです。

ここがこの絵本のさらに怖く、面白いところでもあるのです。

本当に一番怖いものは・・・

さて、3ラウンド目でさらに恐ろしいことに出会います。

もしかしたら、オオカミや怪物よりも恐ろしいかもしれないものに・・・。

そんな、「一番恐ろしく、怒らせてはいけないものってなんなんだろう?」という、物語の深みを感じるのも素敵なところだと思います。

ぜひ、何に出会うかは、ご自分の目で確かめてみてください。

二言まとめ

可愛い絵に反して、容赦のないホラー演出が怖いながらも面白い。

怖さと安心感の板挟みが、ジェットコースターのように楽しい絵本です。

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