へびかんこうセンター(3歳~)

絵本

作:こじましほ 出版:文溪堂

カエルの観光バスはまさかのヘビ。

ヘビに飲まれて、身体の中から観光します。

どんな所も登れるヘビは、実は観光バスに向いているかも?

あらすじ

ヘビ観光センターには、今日もカエルのお客さんがいっぱいです。

ヘビ6号車の発車時間になり、お客さんが乗り込んできました。

口から入り、身体の中の窓のある座席に座ります。

発車すると、花畑のトンネルを通ります。

次にキノコの下を通り、モグラの家の中へ。

地上に出ると、民家の排水管を登って雨どいから、住んでいる街を一望します。

と、そこへ忍び寄る影が・・・。

背後からネコに襲われ、排水管へ落ちるヘビ。

地上に戻されてしまいました。

ネコがいるので、戻るわけにはいきません。

コースを外れたヘビは焦ります。

近道をしようと穴に入ると、そこにはコウモリがいて襲われてしまいます。

なんとか逃げ出しますが、イヌを踏んづけ、イヌにも追いかけられることに。

さらに逃げた先には、人間の子どもがいて捕まってしまったから、もう大変。

子どもはヘビの尻尾を掴み、グルグル回し、ポイッと投げ、ヘビはそのまま池の中へ・・・。

踏んだり蹴ったりのヘビは、無事コースに戻れるのでしょうか?

『へびかんこうセンター』の素敵なところ

  • ヘビに睨まれないカエル
  • ヘビ目線とカエル目線の同時進行
  • 新たなコース提案書

ヘビに睨まれないカエル

この絵本でまず面白いのは、カエルとヘビの組み合わせ。

本来なら天敵であるカエルとヘビが、仲良くしているのです。

乗車の仕方も怖すぎて、ヘビが口を開け、その中にカエルが入っていくという仕様。

はたから見たら、カエルがヘビに丸呑みされている様にしか見えません・・・。

子どもたちも、

「ヘビってカエル食べるよ・・・」

「大丈夫かな?」

と、若干心配し始めます。

あえて、天敵同士をくっつけるという組み合わせが、この絵本の面白いところだと思います。

見ている人の不安はありながらも、バスは発車し、観光が始まります。

ヘビ目線とカエル目線の同時進行

この観光が特徴的で面白い。

観光中、ページの上部にヘビの言葉が、ページの下部に観光客の言葉が書かれているのです。

この作りで、特に面白くなるのがアクシデントに見舞われた時。

ネコに襲われ落ちるヘビ。

ページの上部で、慌てふためいています。

対して下部では、「ジェットコースターみたい!」と喜ぶ子ども。

落ちた後も、コースへ戻ろうと焦るヘビ。

対して、観光客は「もう一回やって欲しいな」と、思い切り楽しんでいます。

こんな風に、ヘビの心境と、観光客の心境が180度違うすれ違いが、とても面白く特徴的なところです。

新たなコース提案書

そんなアクシデント続きの観光でしたが、悪いところばかりではありませんでした。

知られざる名所が発見されたり、いい所もあったのです。

そのいい所を、今回だけで終わらせないのが、このヘビのすごいところです。

絵本が終わった後に、新しいコースの提案書が出来ているのですから。

きちんと、今回危なかったところを修正し、新しく見つけた名所を織り込んだ新コース。

アピールポイントや、写真まで添えてあります。

転んでもただでは起きない前向きさと、プロ根性が垣間見える提案書も、この絵本のとても素敵なところだと思います。

二言まとめ

運転手とお客さんの気持ちを、同時進行で見ることが出来るのがユニークで面白い。

アクシデントあり、発見ありの、とっても楽しい観光が出来る絵本です。

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