作・絵:フィービ・ギルマン 訳:芦田ルリ 出版:福音館書店
おじいさんからもらった、大切なブランケット。
だけど、時が経てばボロボロになっていきます。
そんな時は、おじいさんの所に持っていくと・・・。
あらすじ
おじいさんに、孫が生まれた。
名前はヨゼフ。
おじいさんはヨゼフのために、素敵なランケットを縫ってくれました。
ヨゼフはブランケットをかけて眠ります。
けれども、ヨゼフが段々大きくなると、ブランケットは古くなっていきました。
ある日、お母さんは、ブランケットが古くなったから捨てると言いました。
ヨゼフは「おじいちゃんなら、きっとなんとかしてくれる」と、おじいさんのところへ持っていきました。
おじいさんはブランケットを見ると、切って、縫って、ジャケットに仕立て直してくれました。
けれども、ヨゼフが段々大きくなると、ジャケットは古く、小さくなってきました。
ある日、お母さんは、ジャケットが古くなったから捨てると言いました。
ヨゼフは、またおじいさんのところへ持っていきました。
すると、おじいさんは、ベストに仕立て直してくれました。
けれども、ヨゼフが段々大きくなると、ベストは古く汚れていきました。
ある日、お母さんは、ベストが古くなったから捨てると言いました。
またまた、ヨゼフはおじいさんのところへ、ベストを持っていきました。
おじいさんは、ベストをネクタイに仕立て直してくれました。
どんなに汚れても、姿を変えても仕立て直してくれるおじいさん。
でも、布地は少しずつ小さくなっています。
最後は一体になにになるのでしょうか?
『おじいさんならできる』の素敵なところ
- ワクワクするわかりやすい繰り返し
- 大切に使われ続けるブランケットの最後の形
- 床下で起きている、もう一つのお話
ワクワクするわかりやすい繰り返し
この絵本の楽しいところは、わかりやすい繰り返しとともに、ブランケットの形が変わっていくところでしょう。
- ヨゼフが大きくなり、布は古くなっていく。
- お母さんが捨てましょうという。
- おじいさんの所に持っていき、仕立て直してもらう。
この繰り返しで、どんどん形を変えていくブランケット。
子どもたちの、
「次は何になるんだろう?」
と、ワクワクして待つ姿が印象的です。
さらに、このワクワク感と、おじいさんへの信頼感を高めてくれるのが、仕立て直す時の決まり文句です。
ヨゼフが「おじいちゃんなら、きっとなんとかしてくれるよ」と、おじいさんのところに持っていきます。
おじいさんはよーく眺め、「ふぅむ、どれどれ」といって、切って縫い始めます。
そして、「ちょうどいいものが出来るぞ・・・」の決め台詞。
ページをめくると、別の姿に生まれ変わっているのです。
ヨゼフが「おじいちゃんなら、きっとなんとかしてくれるよ」と言うたびに、子どもたちから、おじいさんへの信頼感も高まっていきます。
おじいさんの決め台詞に、次は何になるのかワクワク感も高まります。
こうして繰り返すたびに、高まるワクワク感が、この絵本の特徴的で素敵なところです。
大切に使われ続けるブランケットの最後の形
そんな繰り返しも、終わりの時はやってきます。
大切に大切に使われ続けてきたブランケットも、最後の姿へと変わります。
この最後の姿が本当に素敵。
古くなっても汚れないもの、これまでのたくさんの繰り返しがあったからこその姿になっているのです。
床下で起きている、もう一つのお話
さて、この絵本。
実はヨゼフだけでなく、ヨゼフの家の床下でも、一つの物語が進んでいます。
それが、床下に住むネズミたちの物語。
これが、ヨゼフの成長とリンクしているのが面白いところです。
ネズミの家は、最初はなにもありません。
しかし、おじいさんの切った端切れが床下に落ち、ネズミの手に渡ります。
その端切れをネズミが、生活に使っていくのです。
仕立て直すたび、ネズミの端切れも増えていき、部屋が飾りつけされたり、ネズミのスカーフになったりと、ネズミの生活にも色が出てきます。
小さくなっていくブランケットに対して、その分だけネズミの生活には布が増えていくのです。
これを見ると、大切なブランケットが、少しも無駄になっていないことに、心がほっこりしてきます。
ヨゼフや、おじいさんが気付いていない所で、幸せをおすそ分けしているのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
赤ちゃんの頃から大切に使われ続けるブランケットの、変わっていく姿にワクワクさせられる。
ヨゼフとおじいさん、ブランケットの、心温まる歴史を感じる絵本です。
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