文:バーバラ・ボットナー 絵:マイケル・エンバリー 訳:さんべりつこ 出版:主婦の友社
本が大嫌いな女の子。
そんな子に、絵本の楽しさを伝えたい図書室の先生。
その思いは、一冊の本を通して、伝わることになるのです。
あらすじ
図書室の先生ミス・ブルックリンは、本が大好き。
ミス・ブルックリンは大好きなお話を、お話会の時にしてくれる。
その時は、決まってお話に合わせた格好をしてくる。
ミス・ブルックスは一年中本を読んで聞かせる。
私はそれがうっとうしい。
そして、5月、世にも恐ろしいことが起きた。
それは「読書週間」。
一番好きなお話を選び、クラスで発表するのだ。
どうして、その本が好きかも一緒に。
私は、本は好きにならないと言った。
「読書週間」が嫌で、お母さんに引っ越したいと言ったみたが、どの町にも図書の先生はいるのだと言われた。
「代わりにやって」と、言ってみたが、断られた。
読書週間が始まり、誰かが毎日好きな本を発表した。
ミス・ブルックスは毎日、その日の発表の感想を私に聞いた。
全て否定的に返していると、ミス・ブルックスはリュックにたくさんの本を詰めてきた。
「お母さんと読んで来て」とのことだ。
家で本を見てみたけど、どれも気に入らない。
そんな私を見て、お母さんが言った。
「お前はイボみたいに頑固だね」
それを聞いて、私はピンときた。
「イボの話が読みたい!」と叫んだ。
お母さんは一冊の本を探してきてくれた。
その一冊とは・・・。
『ほんなんてだいきらい!』の素敵なところ
- 先生と私の温度感が違い過ぎるやり取り
- 自分にピッタリの一冊がある
- ピッタリな本との出会いがただの偶然ではない
先生と私の温度感が違い過ぎるやり取り
この絵本の面白いところは、本が大好きで情熱的な先生と、本が大嫌いでクールな女の子という、全然違う二人のやり取りです。
先生はあの手この手で、本の楽しさを子どもたちに伝えようとしてきます。
それに対して、女の子は一歩引き、冷めた目で先生や他の子どもたちを見つめます。
この凸凹感が面白い。
見ている子どもたちは、先生の楽しそうな行動に惹きつけられます。
でも、女の子が水を差し、そのたびに、
「えー、本楽しいのに!」
「一緒にやったらいいのに!」
と、落ち着かされてしまいます。
このアクセルと、ブレーキの繰り返しが、なんともいえないテンポ感を生み出しているのです。
でも、先生は強引ながらも、女の子の気持ちを否定することはありません。
女の子が自分から、本の楽しさに気付いてもらえるような手助けをするのです。
先生のこういった気持ちが、伝わってくるのもこの絵本の素敵なところです。
自分にピッタリの一冊がある
こうして先生と関わる中で、女の子はある一冊の本と出会います。
その本を読んでいる時は、あんなに冷めていた目が、キラキラと輝いています。
王道ではないお話ですが、それゆえに、女の子にはピンと来たのでしょう。
きっと波長が合ったのだと思います。
そんな姿を見ていると、今は本が好きではない子も、自分のピッタリの本がどこかにある気がしてきます。
そして、それを探してみたいという気分にも。
ピッタリな本との出会いがただの偶然ではない
また、その出会いが、ただの偶然ではないのも素敵なところです。
この出会いには、先生とお母さんの存在と協力が欠かせませんでした。
諦めずに、色々な方法で関わり続けた先生。
その関わりの一つ、「大量の本を持たせて帰す」というのが、ピッタリな一冊との出会いに繋がりました。
持って帰った本を、お母さんが一緒に見たり、女の子の言葉をしっかり聞く中で「イボ」という気になるワードが見つかり、それを元にお母さんが見つけてくれたのが、ぴったりな一冊でした。
この出会いは偶然ではなく、身近な人が力を合わせた結果なのだと思います。
二言まとめ
情熱的な先生と、クールな女の子の、なかなか嚙み合わないやりとりが面白い。
読めば、自分にピッタリの一冊を、探しに行きたくなる絵本です。
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