作:スージー・ウィリアムズ 絵:ハンナ・トルソン 訳:渡邊真里 出版:化学同人
とても身近な生き物アリ。
そんなアリには知られざる秘密がたくさんあります。
可愛い絵とともに、アリの世界を覗いてみましょう。
あらすじ
アリはいくつかのグループに分かれて暮らしている。
小さいグループから、大きいグループまであり、コロニーと呼ばれる。
アリは昆虫の仲間。
だから、頭、胸、お腹の三つに分かれている。
足の先には尖った爪、口には大あご、頭には触角、お尻には針がある。
アリは、土や木の壁の中に家を作る。
アリの家のことを巣と呼ぶ。
たくさんの部屋があり、その部屋をトンネルで繋ぐ。
食べ物を置いておく部屋や、寝る部屋もある。
一つのコロニーには、女王アリ、オスアリ、働きあアリの3種類がいる。
普通、外で見かけるアリは働きアリ。
働きアリはみんなメス。
コロニーのみんなのために、働いている。
巣の外では、土の上に匂いをつけながら歩く。
この匂いを道しるべに自分たちの巣へ帰る。
アリには耳がなく、代わりに足で揺れを感じる。
この揺れが、敵がどこからやってくるのか教えてくれる。
アリには胃袋が二つある。
一つ目は自分の食べ物を貯めておくため。
二つ目は仲間にわけてあげる食べ物を貯めておくため。
アリにはまだまだ秘密がある・・・。
『ちっちゃな生きものたちアリ』の素敵なところ
- 話し言葉でとても親しみやすい文章
- デフォルメされた、丸みがあって可愛い絵
- 難しすぎないけど、マニアックさも忘れないバランス
話し言葉でとても親しみやすい文章
この絵本で、最初に感じるのは、その読みやすさではないでしょうか?
科学絵本とは、思えないほど柔らかな文章。
話し言葉で書かれているので、とても親しみがあり、まるで著者と話しているようです。
一つ一つの説明も、
「働きアリは、コロニーのみんなのために、お仕事をする。食べ物を運んできたり、巣の外にゴミを捨てたりするんだ。」
「アリには好き嫌いがないんだって。果物、野菜、死んだ動物、きのこまで、見つけたエサはなんでも食べるよ。」
といったように、子どもが自然と理解できる言葉で書かれているのも、素敵なところ。
おかげで、文章に邪魔されず、アリの知識がスッと入ってくるのです。
デフォルメされた、丸みがあって可愛い絵
この親しみやすさを、さらに増してくれるのが、とてもかわいらしい絵です。
アリの特徴的なパーツは抑えつつも、どこか子どもが描いたような、丸みのある優しくて可愛い絵で描かれています。
この絵が、親しみやすい文章と、ピッタリ合っているのです。
そのおかげか、科学絵本に起きがちな、少し重たい雰囲気が全くありません。
物語のようにスラスラと、楽しく読めるものになっています。
難しすぎないけど、マニアックさも忘れないバランス
ただ、読みやすいからといって、内容が薄い訳ではありません。
このわかりやすさで、かなりマニアックな知識まで伝えてきます。
コロニーで生活していること、揺れで感知していること、胃袋が二つあること、呼吸の仕方・・・。
子どもはもちろん、読んでいる大人も、
「そうだったんだ!?」
「アリってすごいな~」
と、子どもと一緒に驚き、そのすごさと面白さに夢中になってしまいました。
また、危ないアリの見分け方も書いてあり、実際に興味を持って外でアリを探す時に、気を付けられるようになっているところ。
アリ自身のことだけでなく、アリが自然界の中で果たす役割についても描かれていて、関わり合いながら生きる自然の面白さに、目が向くようになっているのも、とても素敵なところです。
二言まとめ
とてもわかりやすく、親しみある言葉で、アリの深い知識まで伝えてくれる。
読めば、大人も子どもも、アリを探しに行きたくなってしまう絵本です。
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