文:中川ひろたか 絵:大島妙子 出版:保育社
走る、跳ぶ、登る・・・。
色んなことが出来る足。
そんな足の凄さを改めて、見てみましょう。
あらすじ
5歳の男の子は、運動会のかけっこで1位になった。
その男の子には、去年弟が生まれ、寝ながら手足を動かしていた。
弟は、一人で座れるようになり、はいはいをし、つかまり立ちをするようになった。
そして、誕生日を過ぎた頃、一人で立った。
さらに、自分の足で歩き出した。
・・・、そこへ突然、顔が足になっている博士が現れ、授業を始めた。
動物たちも足で歩くこと、オタマジャクシには足が生えること、鳥たちにも足があること。
足跡の大きさを比べ、人間の足は結構大きいことを教えてくれた。
人間の足の裏は、成長するとへこんできて、ここを土踏まずだということも教えてくれた。
足には凄いところ、偉いところがまだまだある・・・。
『あしってエラい!』の素敵なところ
- 足の凄さを改めて感じる
- わかりやすく聞きやすい話し言葉
- 先生のキモかわいい魅力
足の凄さを改めて感じる
この絵本は、普段当たり前のように使っている足の凄さと、偉さを、改めて感じさせてくれます。
特に何も考えずに使っている足。
跳ぶのも、歩くのも、走るのも自由自在で、どこへでも連れていってくれる足。
でも、生まれた時のこと、歩けるようになるまでのことを見てみると、決して当たり前ではありません。
動物と比べたら、形は全然違います。
出来ることを考えてみたら、登る、泳ぐ、踊るなど、本当に色々なことが出来ます。
比較、機能、形、色々な角度から見てみることで、足の凄さや偉さに改めて気づかせてくれるのです。
特に、土踏まずのところでは、自分の足を見つめ、触り、土踏まずがあるか確認する子どもたち。
「ほんとだ!へこんでる!」
「これかな~?」
「あんまりへこんでない・・・」
など、自分の体へ興味を持つ、いい機会になっていました。
わかりやすく聞きやすい話し言葉
また、文章が、男の子のわかりやすい言葉で描かれているのも、素敵なところです。
「やがて、歩き出す。一歩、二歩、三歩、とことことこ、弟は自分の足で歩き始めた。」
「前、動物園で見たサルがすごかった。まるで、手のように足で木の枝を掴んでたの。」
というように、見ている子どもたちと、同じ目線ですごさや驚きを伝えてくれるので、とても共感できるのです。
足博士の解説も、同様に話し言葉で書かれているので、足の凄さが、聞きやすく伝わりやすくなっています。
先生のキモかわいい魅力
さて、そんな足博士が、絶妙なフォルムをしているのも、この絵本の面白いところ。
顔が足の形をしていることも手伝って、ぱっと見の不気味さがすごい・・・。
しかも、弟が歩いて喜んでいたら、急に窓から入ってくるのです。
普通なら、軽いモンスター状態。
子どもたちも、
「うわ~・・・」
「変な顔~」
「やだ~」
と、驚きより悲鳴が上がるという、あまり見ない反応をしています。
でも、見ているうちに、なんだか慣れてきます。
教えてくれることも面白いので、話に夢中になってしまいます。
すると、不思議なことに可愛く見えてきます。
なんだか、その動きや表情に、マスコット的な可愛さが滲み出てくるのです。
気付けば愛着が湧いている。
それもこの絵本の不思議で素敵なところです。
二言まとめ
普段は当たり前のように使っている足が、実はとっても凄くて、とっても偉いことに気付かせてくれる。
自分の足と、キモかわいい足博士から、目が離せなくなる絵本です。
コメント