キュッパのはくぶつかん(4歳~)

絵本

作:オーシル・カンスタ・ヨンセン 訳:ひだにれいこ 出版:福音館書店

物を集めるのが大好きな男の子。

でも、集め過ぎて、しまう場所がなくなってしまいます。

そこで、しまうのではなく、展示してみることにしましたが・・・。

あらすじ

丸太の男の子キュッパは、森の小さな家で暮らしています。

キュッパは色々な物を集めるのが大好き。

火曜日は森へ散歩に行き、落ちているものを集めます。

葉っぱ、釘、傘、木の枝・・・。

色々なもを拾い、家に帰ると、拾ってきたものを全て床に広げました。

そして、百科事典で拾ってきたものを調べ、名前がわかると分類し、ラベルをつけて箱にしまうのです。

しかし、箱も引き出しも、もう一杯。

しまうところがありません。

そこで、おばあちゃんに電話して相談することにしました。

おばあちゃんは、キュッパと前に行った石の博物館のことを思い出させ、キュッパも博物館を作ってみたらどうかと言いました。

キュッパは早速、博物館を始める準備に取り掛かりました。

家の中に展示室を作り、お知らせを出し、いよいよ会館の日。

キュッパの博物館には、たくさんの人がつめかけました。

キュッパは緊張しましたが、お客さんに展示物を紹介し、案内していきます。

キュッパの博物館は大盛況。

連日、たくさんのお客さんがやってきました。

しばらくは楽しかったキュッパ。

ですが、段々とうんざりしてきました。

忙しすぎて、以前のように散歩にもいけないし、仲の良いみんなでおやつを食べたりも出来なかったからです。

博物館を始めて一週間後、キュッパは閉館することに決めました。

けれど、キュッパはまた困ってしまいました。

博物館をやめると、しまう場所がなくなってしまうのです。

そこで、またおばあちゃんに電話をかけ相談することに。

すると、また石の博物館に行った時のことを思い出させ、今度は見終わった後になにをしたかをキュッパに聞きました。

キュッパがそこでしたこととは?

そして、その時の記憶が、どんな役に立つのでしょうか?

『キュッパのはくぶつかん』の素敵なところ

  • 見ているだけで楽しくなるキュッパのコレクション
  • 一つの行動が色々なことに繋がる面白さ
  • 集めたものを分類したくなってくる

見ているだけで楽しくなるキュッパのコレクション

この絵本で目を引くのは、やはりたくさんの物でしょう。

表紙からすでに、とても賑やか。

もちろん、絵本の中にもたくさんの物が出てきます。

森に出かければ、本当に色んなものが落ちていて、

「あ、メガネもあるよ!」

と、発見がとまりません。

しかし、中でもすごいのは、キュッパが拾ってきたものを床に広げた場面です。

見開き一ページに、細かく描かれたもの・もの・もの・・・。

色んな種類の松ぼっくりに、枝、帽子、靴下、ホッチキス。

車のタイヤや鉄パイプまであるのです。

じっくり見ているだけで面白く、話が先に進みません。

「まつぼっくりだ!」

「プロペラ!?」

「これなんだろう?」

驚きと笑いが、止まら無くなってしまいます。

もちろんその後も、箱や引き出しの中、展示したものなどなど、細かく描き込まれたものたちが、見る人をこれでもかと楽しませてくれるのです。

一つの行動が色々なことに繋がる面白さ

また、面白いのは溢れるものばかりではありません。

その物語も、とても深みのある面白いものになっています。

それが、一つ行動を起こすと、いいこと、悪いこと、色々なことに繋がっていくところです。

物を集めると、しまう場所がなくなります。

そこで博物館にしてみますが、そこでめでたしめでたしではありません。

最初は張り切り楽しいですが、自分の時間がなくなります。

でも、やめるとしまう所がなくなってしまうし・・・。

と、全てのことがいい面と、悪い面両方に繋がり、それが描かれるのが素敵なところ。

色々な要素が複雑に絡み合っていること、物事にはいろんな面があることを自然に伝えてくれるのです。

子どもたちも、

「博物館いいね!」

と、手放しに喜んでいますが、キュッパの苦労も知ると、

「そっか~、ずーっとやるの大変だもんね。」

と、改めて気付かされているようでした。

集めたものを分類したくなってくる

さて、素敵なところはまだあります。

それが、読むと集めたものを分類したくなることです。

元々、物を集めるのが大好きな子どもたち。

でも、集めた後は放置しがちです。

ですが、この絵本では、それを分類して取っておく方法がわかりやすく描かれます。

それはまさにコレクション。

見ていると、自分も集めたものを分類してみたくなってきます。

そこから、自分だけの博物館など、その先の遊びにも繋がるかもしれません。

この絵本は、子どもの習性とも言えるような、集めることをさらに次の遊びへ発展させるヒントを、たくさんくれるのです。

二言まとめ

ページの中に溢れる物を見ているだけで、たくさんの発見が楽しめる。

自分も集め、分類し、コレクションを作りたくなってくる絵本です。

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