青い花のえかきさん(5歳~)

絵本

文:ソーニャ・ハーネット 絵:ガブリエル・エヴァンス 訳:みらいなな 出版:童話屋

人と同じように出来ない女の子。

それが嫌で、学校に行きたくありません。

ある日、ママにそのことを伝えると・・・。

あらすじ

私は朝、目を覚ましたが、学校に行きたくなかった。

友だちもいないし、跳んだり跳ねたりするのも嫌い。

勉強は難しいし、間違えるのが怖い。

おしゃべりも嫌い。

それに、私は何をしても下手。

みんなは上手に出来るのに。

ある朝、ママに「今日はおうちにいるよ」と言ったら、「病気じゃないから学校に行きなさい」と言われた。

私には病気じゃないけど、家にいることが大事。

大好きなことが出来るから。

それはドーナツ屋さんの匂いを嗅ぐことと、青い絵の具で、青い花を描くこと。

学校で、私だって答えがわかれば手を上げる。

でも、答えがわからないから、手を上げられない。

ある晩、宿題が出来なくて泣きそうだった。

宿題を、みんなと同じように出さないと、笑われるから。

それが嫌で、ママに「明日は学校に行かない」と言ってみた。

話を聞いてくれるママに、私は、宿題もかけっこもみんなと同じようにやらないと、笑われちゃうことを伝えた。

するとママは言った。

「みんなと同じでないと、何がいけないの?」と。

「人と違うって素敵、と思えたらどんなにいいでしょう」とも。

私は「違うって当たり前なの?」と聞いた。

「当たり前でしょ!違っているから素敵なのよ」とママ。

「そうか!」と私は気付いた。

そして、少し散歩に出かけた。

散歩をしながら色々と考えてみると・・・。

『青い花のえかきさん』の素敵なところ

  • 等身大で描かれる、子どもが一度は通る悩み
  • ママの心強い言葉
  • 気付いたことを実感する散歩の時間

等身大で描かれる、子どもが一度は通る悩み

この絵本では、子どもの悩みが「私」の目線で等身大で描かれます。

その悩みは「みんなと同じじゃない」というもの。

走るのが遅い、上手く絵が描けない、背が低い、上手くしゃべれない・・・。

などなど、誰もが一度は経験する悩みではないでしょうか。

それはどれも、「みんな」と比べるから起こること。

この女の子も、今まさに悩んでいて、考えると学校に行きたくなくなります。

そんな悩みが、自分の日々の生活に触れ、等身大で描かれるから、自然と共感出来るのです。

女の子と自分を重ね合わせ、自分の実体験や気持ちとリンクするのです。

女の子の悩みが、自分事になっている。

そこがこの絵本の素敵なところです。

ママの心強い言葉

また、自分を女の子に重ね合わせているからこそ、ママの言葉が身に染みます。

自分の気持ちを伝えた時に、マカロニを茹でながら返してくれたママの言葉。

「みんな違っているから素敵なのよ」

嫌なことばかりに目がいって、視野が狭くなっていた女の子の世界を広げてくれる言葉です。

卑下していた自分を、「素敵」だと、受け入れてくれる言葉です。

とても自然に、あっけらかんと、当たり前のように言ってくれます。

だからこそ、自然に心の中にしみ込んで、気持ちを解放してくれたのでしょう。

そして、同じように悩んでいる子にも、とても力強い言葉になっているでしょう。

気付いたことを実感する散歩の時間

でも、この絵本では納得して終わりではありません。

そこがとても素敵だなと思う所。

その言葉を聞いた後、女の子は散歩に出かけます。

散歩の中で見る景色の中に、「みんな違う」ことをたくさん見つけていきます。

それは納得したことを、実感していく大切な時間です。

「確かにみんな違うんだな」

「違うって素敵だな」

そんなことを自分の目を通して実感するのです。

これは読んでいる人も同様です。

女の子が実感することを通して、読んでいる人も違うもので溢れていることを実感します。

子どもたちも、

「ほんとだ!みんな違う」

「ぼくは赤が好きだけど、Aくんは青が好きだしね!」

「顔も違うよ!」

など、色々な違いを改めて見つけていました。

言葉による納得で終わらないのが、本当に素敵なところです。

二言まとめ

みんながきっと通る「みんなと違う」という悩みを、等身大の目線で描いた。

みんな違うことの素敵さを、女の子と一緒に実感していく絵本です。

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