しんじなくてもいいけれど(4歳~)

絵本

文:内田麟太郎 絵:早川純子 出版:ビリケン出版

「信じなくてもいいけれど・・・」

そう言われたら「なに!?なに!?」と、聞きたくなってしまうもの。

この絵本では、そんな期待を裏切らない、信じられないことが次々と目の前に現れます。

あらすじ

男の子が自転車に乗って、道を行く。

その道は「信じなくてもいいけれど・・・」

見渡す限り車が走る、こんなにでっかい道だった。

道を走ってしばらく行くと、サルのいる木が見えてきた。

その木は「信じなくてもいいけれど・・・」

てっぺんが見えないくらい、こんなにでっかい木だった。

木の枝を通り抜け、木から離れて行くと、木のてっぺんが見えてきた。

木のてっぺんにいたのは、「信じなくてもいいけれど・・・」

木よりでっかいセミだった。

男の子は自転車に乗り、さらに行く。

一体どこに向かっているのか・・・。

『しんじなくてもいいけれど』の素敵なところ

  • 使いたくなっちゃう「信じなくてもいいけれど」
  • 「信じなくてもいいけれど」に負けないくらいの出来事
  • 実は繋がっている物語

使いたくなっちゃう「信じなくてもいいけれど」

この絵本で、一番特徴的なのは「信じなくてもいいけれど」という、決まり文句でしょう。

語呂のよさ、次に何を言うのかというワクワク感、すごそうな期待感。

全てを兼ね備えたパワーワードです。

その魅力に、物語が始まった瞬間に引き込まれる子どもたち。

「信じなくてもいいけれど・・・」と、言うたびに、

「なになに!?」

「今度はなにが出てくるんだろう?」

「こんなに大きな魚だった?」

などなど、もうワクワクが止まりません。

また、絵本の間だけでなく、読み終わった後も、「信じなくてもいいけれど・・・、ぼくの家に恐竜がいます!」と、自分の「信じなくてもいいけれど・・・」を作っていたのも面白いところです。

聞いていたら、自分でも言いたくなる魔力があるのです。

「信じなくてもいいけれど」に負けないくらいの出来事

もちろん、「信じなくてもいいけれど・・・」の後に起こる出来事も、期待を裏切らないものばかりです。

「信じなくてもいいけれど・・・」に言葉負けしてしまっては、面白さも半減してしまいます。

でも、安心してください。

どれも期待を越えるものばかり。

大きさのスケールが違います。

視界の限界を超え、地平線まで広がる道を埋め尽くす車。

トトロもびっくりの、妖怪かと思うくらいでっかい木。

空を覆うほどのでっかいセミ。

と、「信じなくてもいいけれど・・・」から、ページをめくった瞬間、目に飛び込んでくるインパクトの強烈さ。

ストレートに「でっけー!!!」と驚かせてくれます。

そして、すぐさま次の「信じなくてもいいけれど・・・」が始まります。

最初から最後まで驚きっぱなし、ワクワクしっぱなしの時間です。

実は繋がっている物語

さて、そんな信じられないことが次々起こるお話ですが、実は一本の筋があります。

全てのページが繋がっていて、物語を想像することが出来るのです。

ただ、文章にはなっていません。

ページをよく見ていると気付くのです。

でっかい道を走っている車が運んでいるもの。

遠くに見える景色の一部。

向かっている方向。

などなど、「あれ、もしかして?」と思います。

その目線で最初から最後まで見ると、一つの物語が見えてくるのです。

ナンセンス絵本かと思いきや、しっかり繋がりや意味があるところも、この絵本の面白くて素敵なところです。

二言まとめ

「信じなくてもいいけれど」という言葉通り、信じられないことが次々起こる。

読んだ後、「信じなくてもいいけれど・・・」と人に言いたくなる絵本です。

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