文:内田麟太郎 絵:早川純子 出版:ビリケン出版
「信じなくてもいいけれど・・・」
そう言われたら「なに!?なに!?」と、聞きたくなってしまうもの。
この絵本では、そんな期待を裏切らない、信じられないことが次々と目の前に現れます。
あらすじ
男の子が自転車に乗って、道を行く。
その道は「信じなくてもいいけれど・・・」
見渡す限り車が走る、こんなにでっかい道だった。
道を走ってしばらく行くと、サルのいる木が見えてきた。
その木は「信じなくてもいいけれど・・・」
てっぺんが見えないくらい、こんなにでっかい木だった。
木の枝を通り抜け、木から離れて行くと、木のてっぺんが見えてきた。
木のてっぺんにいたのは、「信じなくてもいいけれど・・・」
木よりでっかいセミだった。
男の子は自転車に乗り、さらに行く。
一体どこに向かっているのか・・・。
『しんじなくてもいいけれど』の素敵なところ
- 使いたくなっちゃう「信じなくてもいいけれど」
- 「信じなくてもいいけれど」に負けないくらいの出来事
- 実は繋がっている物語
使いたくなっちゃう「信じなくてもいいけれど」
この絵本で、一番特徴的なのは「信じなくてもいいけれど」という、決まり文句でしょう。
語呂のよさ、次に何を言うのかというワクワク感、すごそうな期待感。
全てを兼ね備えたパワーワードです。
その魅力に、物語が始まった瞬間に引き込まれる子どもたち。
「信じなくてもいいけれど・・・」と、言うたびに、
「なになに!?」
「今度はなにが出てくるんだろう?」
「こんなに大きな魚だった?」
などなど、もうワクワクが止まりません。
また、絵本の間だけでなく、読み終わった後も、「信じなくてもいいけれど・・・、ぼくの家に恐竜がいます!」と、自分の「信じなくてもいいけれど・・・」を作っていたのも面白いところです。
聞いていたら、自分でも言いたくなる魔力があるのです。
「信じなくてもいいけれど」に負けないくらいの出来事
もちろん、「信じなくてもいいけれど・・・」の後に起こる出来事も、期待を裏切らないものばかりです。
「信じなくてもいいけれど・・・」に言葉負けしてしまっては、面白さも半減してしまいます。
でも、安心してください。
どれも期待を越えるものばかり。
大きさのスケールが違います。
視界の限界を超え、地平線まで広がる道を埋め尽くす車。
トトロもびっくりの、妖怪かと思うくらいでっかい木。
空を覆うほどのでっかいセミ。
と、「信じなくてもいいけれど・・・」から、ページをめくった瞬間、目に飛び込んでくるインパクトの強烈さ。
ストレートに「でっけー!!!」と驚かせてくれます。
そして、すぐさま次の「信じなくてもいいけれど・・・」が始まります。
最初から最後まで驚きっぱなし、ワクワクしっぱなしの時間です。
実は繋がっている物語
さて、そんな信じられないことが次々起こるお話ですが、実は一本の筋があります。
全てのページが繋がっていて、物語を想像することが出来るのです。
ただ、文章にはなっていません。
ページをよく見ていると気付くのです。
でっかい道を走っている車が運んでいるもの。
遠くに見える景色の一部。
向かっている方向。
などなど、「あれ、もしかして?」と思います。
その目線で最初から最後まで見ると、一つの物語が見えてくるのです。
ナンセンス絵本かと思いきや、しっかり繋がりや意味があるところも、この絵本の面白くて素敵なところです。
二言まとめ
「信じなくてもいいけれど」という言葉通り、信じられないことが次々起こる。
読んだ後、「信じなくてもいいけれど・・・」と人に言いたくなる絵本です。
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