クリスマスのきせき(3歳~)

絵本

作:高畠那生 出版:岩崎書店

ペンギンたちが、クリスマスプレゼントに用意した雪。

まさか、あれがあんなことになって、そんなことになって、こんな形になるなんて!

まさにクリスマスの奇跡!?

あらすじ

ペンギンたちが大きな台車に、大量の雪を載せて運んでいます。

これから行く、七面鳥の町でのクリスマスパーティーに、雪景色のプレゼントをするつもりなのです。

この山を下れば、七面鳥の町。

斜面をゆっくりと気を付けながら、台車を進めていきます。

と、その時、台車が斜面を転がり始めてしましました。

追いかけるペンギンたち。

しかし、台車は止まりません。

そのまま崖から飛び出して・・・。

どっしゃ~ん!

大きな箱はバラバラになり、雪が地面に散らばってしまいました。

ペンギンたちは雪をかき集め、一枚の板に乗せていきます。

それを借りた車の上に乗せ、改めて出発!

七面鳥の元へ急ぎます。

すると、目の前に、雪よりも小さいトンネルが。

トンネルを抜けると、雪は少し小さくなり、トンなるの形になりました。

次に並木道を通っていくと、並木に雪がぶつかって、削れた雪はまん丸に。

さらに人間の街を、洗濯物や電飾を巻き込んで進んでいきます。

そして、いよいよ七面鳥の町が見えてきました。

最後のカーブを曲がった時、板の上の雪玉がゴロン・・・。

七面鳥の町に転がっていく雪玉。

一体どうなってしまうのでしょうか?

『クリスマスのきせき』の素敵なところ

  • お約束過ぎるゆえに、鉄板な物語の始まり
  • どんどん変わっていく雪の形にワクワク
  • 「奇跡的に丸く収まった!?」な最後の場面

お約束過ぎるゆえに、鉄板な物語の始まり

このお話の始まりは、ダチョウ倶楽部の笑いくらい、鉄板な流れで始まります。

大量の雪を載せた台車、下り坂、「ゆっくりゆっくり」の掛け声。

もう、「押すなよ押すなよ」としか聞こえません。

子どもたちも、

「大丈夫かな・・・」

「そっとだよ・・・」

と、言いながら期待のこもった眼差し。

そして、もちろん走り出す台車。

「あー!やっぱりー!」

と、嬉しそうな子どもたち。

からの崖を飛び出し、どっしゃ~ん!と、派手に散らばる雪・・・。

流れが完璧すぎて、逃げられる子どもは一人もいません。

この頃には、完全に物語の中に入り込んでしまうのです。

どんどん変わっていく雪の形にワクワク

だけど、それだけでは終わりません。

散らばった雪をかき集め、また動き始めます。

ここからは、まさかの出来事の連続にハラハラドキドキ。

どう見ても、ぶつかりそうなトンネルをくぐったり、並木に削られて丸くなったり・・・。

そのたびに、子どもたちも、

「ぶつかっちゃうよー!」

「雪落ちちゃった!」

「ボールみたいになったよ!?」

と、驚いたり、喜んだり、大忙しです。

もう、どうなるのか予想もつきません。

このお約束から、「どうなっちゃうんだろう?」に繋がっていくのも、おもしろいところです。

「奇跡的に丸く収まった!?」な最後の場面

さて、そんな物語の最後は、誰もが予想外のものでした。

まるでピタゴラスイッチ。

あまりの収まりの良さに、子どもたちからも歓声が上がります。

箱に積んでいた雪が、ピタゴラスイッチを経て、こんな形になるなんて、まさにクリスマスの奇跡(軌跡かも?)。

タイトル回収も完璧です!

二言まとめ

最初はただの雪だったのに、紆余曲折を経て、まさかの形に仕上がっていく。

「どうなっちゃうんだろう!?」の連続がたまらなくおもしろい、奇跡的な絵本です。

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