ともだちなんかいらない(5歳~)

絵本

文:内田麟太郎 絵:喜湯本のづみ 出版:小学館

オバケは友だちなんかいりません。

でも、毎日となりにやってくるあいつが、気になります。

そんなある日、突然あいつがこなくなりました。

なんだか胸がモヤモヤし始め・・・。

あらすじ

オバケのギザギザは、友だちなんかいらないと思っていました。

ギザギザは「友だちを作るのは、寂しがり屋の弱虫がすることだ」と独り言を言いました。

そんなギザギザの声を聞いて「おれもだ」と返事をする声があります。

声のする方を見ると、1人のオバケが座っていました。

そのオバケは「おれはイガイガ」と名乗ると、それっきりそっぽを向いて、何も言わなくなりました。

次の日もとなりにイガイガが来た。

けれど、しゃべることはない。

2人はさびしんぼうじゃないからだ。

次の日も来た。

もちろん、あいさつなんてしない。

次の日、イガイガが来なかった。

なぜか、とても心配になった。

家に帰った後も心配が頭から離れない。

そして、次の日・・・。

『ともだちなんかいらない』の素敵なところ

  • 素直じゃない2人の、不器用なやり取り
  • 一日ずつじっくり進んでいく物語
  • 最後まで素直じゃない2人

素直じゃない2人の、不器用なやり取り

この絵本で、なによりも特徴的なのは、素直じゃなさすぎるオバケでしょう。

友だちなんかいらないと言い張り、口も利かないギザギザとイガイガ。

でも、毎日同じ場所に来て、となりに座り一緒に過ごします。

なんだかお互いが気になって、チラチラ見たりもしています。

見ていると、「一緒に遊べばいいじゃん!」と、思ってしまいますが、不器用な2人はそんなこと出来ません。

最初に友だちはいらないと言ってしまいましたから。

そんな2人の、不器用ながらに心の距離が縮まっていく姿が、なんとも微笑ましくとっても素敵。

子どもたちも、

「仲良しじゃんね~」

「お話すればいいのに・・・」

と、2人が友だちになりたいことはお見通しです。

一日ずつじっくり進んでいく物語

また、この2人の日々が、一日ずつゆっくりと描かれていくのも素敵なところです。

「次の日」という決まり文句で、一日ずつ2人の関係性が描かれていきます。

出会った日から、次の日も隣に来て座るイガイガ。

次の日も隣に・・・。

と、一日ずつ過ぎることで、一緒にいるのが当たり前になってきます。

ところが、当たり前になった矢先、イガイガが来ないという事件が起こります。

心配でいてもたってもいられないギザギザ。

子どもたちも、ギザギザと一緒に、

「なんで来ないんだろう?」

「大丈夫かな?」

と、同じように心配します。

きっと、ギザギザと一緒に、イガイガとの日々を過ごしていたからでしょう。

この気持ちの揺れ動きは、一日ずつじっくり進んできたからこそだと思います。

最後まで素直じゃない2人

さて、そんな物語の結末は、まさにこの2人ならではの素直じゃないものになっています。

素直じゃないけど、きっと心の壁が一つ崩れたのだろうなと思う最後。

これがこの2人にピッタリ過ぎて、とても素敵。

「まったく素直じゃないな~」とニヤニヤさせてくれます。

子どもたちも、

「もう友だちじゃん!」

「絶対仲良しなのにね~」

「一緒にいたいくせに~」

と、ニヤニヤ。

最後のページでの、2人をずっと見ていたネズミのじいさまの一言も、見ている人の気持ちを見事に代弁していて、すごくすっきりとした気持ちで物語を終わらせてくれるのも、素敵なところです。

二言まとめ

2人のオバケの、不器用で素直じゃないやり取りが、なんとも微笑ましい。

素直に「友だちっていいよね~」と、思わせてくれる絵本です。

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