作:いとうひろし 出版:絵本館
サンタ学校の落第生、サンとタクとロースは3人揃って一人前。
そんな3人のクリスマスは、ケンカをしたり、プレゼントが足りなくなったり、もうハチャメチャ。
だけど、どこか憎めない不思議な魅力のサン・タク・ロースの物語。
あらすじ
サンとタクとロースの三人は、サンタ学校の落第生。
三人揃って一人前です。
だけど、3人はすることがバラバラ。
サンはいつでも動物と遊ぶ。
タクはいつでも乗り物をいじる。
ロースはいつでも楽器を鳴らす。
クリスマスには、プレゼント配りでケンカする。
自分のプレゼントが一番と、一歩も譲らず、1人に3つのプレゼントを置いていく。
プレゼントはすぐになくなり、自分たちがプレゼントの代わりをしたりする。
おまけにのろま。
仕事の途中で夜が明ける。
クリスマスの朝、決まって町は大騒ぎ。
だって、プレゼントが3つの子もいれば、なんにももらえない子もいるから。
3人サンタの町の子の、クリスマスはハラハラドキドキ。
だけど、子どもたちは3人サンタを心待ちにしている。
なぜかというと・・・。
『さんにんサンタ』の素敵なところ
- 個性的過ぎる3人サンタのドタバタクリスマス
- 3人サンタの優しい法則
- 歌うようにリズミカルで楽しい文章
個性的過ぎる3人サンタのドタバタクリスマス
この絵本の一番の魅力は、3人のサンタが作り出す、カオスなクリスマスの面白さでしょう。
見た目も性格も好きなものも全部違う、個性豊かな3人が織り成すクリスマス。
それはもう常識が通じないものでした。
ケンカはするし、プレゼントを3つあげちゃうし、あげすぎてプレゼントが足りなくなるし、配り終わる前に夜が明けてしまいます。
子どもたちも、これには驚きっぱなし。
「えー!3つあげちゃうの!?」
「もー!あげすぎるからだよ!」
「朝になっちゃった!」
と、驚きとツッコミが止まりません。
でも、このハチャメチャ感がなんとも面白いのです。
子どもたちも「も~」と言いながらも笑顔です。
3人サンタの優しい法則
けれど、ハチャメチャなだけで終わらないのが、この絵本のとても素敵なところです。
3人サンタの町の子は、ハラハラドキドキしながらも、あることに気付いているのです。
それが、プレゼントを3つもらっている子の共通点。
だからこそ、ハラハラドキドキしながらも、楽しみに3人サンタを待っています。
この素敵で優しい法則と、3人サンタはきっと無意識にやっているんだろうなという、不思議な信頼感も、この絵本の魅力です。
歌うようにリズミカルで楽しい文章
そんなハチャメチャだけど心温まる物語を、さらに楽しいものにしてくれているのが、リズミカルな文章です。
「さん さん さん さん さんにんサンタ」という決まり文句を始めとして、
「さんにん あわせて サン・タク・ロース さんにん そろって いちにんまえ」
「サンのプレゼントは ワン ニャン ピョン」
といったように、聞いているだけで楽しいテンポ感で、物語が進んでいきます。
これがクリスマスの楽しい雰囲気、3人サンタのハチャメチャっぷりと合わさり、この物語をより魅力的なものにしてくれます。
思わず一緒に言いたくなってしまうフレーズの数々も素敵です。
二言まとめ
全てが予想外の3人サンタが巻き起こす、ハチャメチャなクリスマスが面白過ぎる。
けれどハチャメチャなだけで終わらずに、3人サンタが愛されている理由に心がぽっと温かくなるクリスマス絵本です。
コメント