作:古内ヨシ 出版:大日本図書
きつねうどんとたぬきうどん。
どちらの方がおいしいかで、タヌキとキツネが大げんか。
それを見かねたうどん屋の店主は、ある提案をするのでした。
あらすじ
あるところに、きつねうどんが大好きなキツネくんと、たぬきうどんが大好きなタヌキくんがいました。
2人は、うどん屋さんにやってくると、人間に化けてお店へ入っていきました。
それぞれ大好きなきつねうどんとたぬきうどんを頼みます。
その美味しいこと。
おつゆまで、全て飲み干してしまうほどでした。
2人は葉っぱのお金と、どんぐりのお金を払うと帰っていきました。
うどん屋のおじいさんは、2人の正体に気が付きながらも笑顔で「またおいで」と言ってくれました。
それから、タヌキくんとキツネくんは毎日うどん屋さんにやってきました。
ある日、タヌキくんがおじいさんに聞きました。
「一番好きなうどんはなあに?」
それを聞いたキツネくんが、「きつねうどんに決まってる」と言ったから大変です。
タヌキくんも「たぬきうどんが一番だ」と言い出し、大げんかになってしまいました。
それを見ていたおじいさんは止めに入り、2人をうどん作りに誘いました。
2人はけんかをやめ、大喜びでうどんを作り始めます。
麵を作り、おつゆを作り・・・。
とうとう2人の作ったたぬきうどんと、きつねうどんが完成しました。
ですが、タヌキくんの前にはきつねうどん。
キツネくんの前にはたぬきうどん。
いつもと注文が反対です。
2人は文句を言いますが、おじいさんに言われそのまま食べてみると・・・。
『きつねうどんたぬきうどん』の素敵なところ
- 本物のタヌキとキツネが作るうどん
- 2人の正体を知っても、優しく見守るおじいさん
- とてもうどんを美味しそうに食べる2人
本物のタヌキとキツネが作るうどん
この絵本の一番おもしろいところは、たぬきうどんときつねうどんを、本当のタヌキとキツネが作るところでしょう。
名前の繋がりから、本当に作ることになるというおもしろさは、シンプルながら子どもの心をしっかりとつかみます。
「えー!?本当に作ることになっちゃったよ!」
「本物のタヌキうどんだ!」
「ちゃんと作れるかな~?」
と、2人がうどんを作る姿にすっかり夢中です。
うどんを作る姿が、にこにこととても楽しそうなのも素敵なところ。
けんかをしていた怒り顔はどこへやら。
楽しくて仕方がないと言った様子で、力を合わせて作ります。
そのうどんの美味しそうなこと。
楽しい気持ちにはなるし、うどんの作り方もわかるしでまさに一石二鳥です。
2人の正体を知っても、優しく見守るおじいさん
そんな楽しいうどん作りの機会を作ってくれたのは、うどん屋の優しいおじいさんです。
このおじいさんの優しさと温かさも、この絵本の素敵なところ。
タヌキくんとキツネくんが、初めて店に来た時から、その正体に気付いていたおじいさん。
でも、それを叱ることなく、「またおいで」と言ってくれる器の大きさがすごい。
その時の笑顔もとても温かく、孫を見守るかの様で素敵です。
毎日くる2人にも、うどんを出してあげ、すっかり仲良くなった3人。
ある日起こった、タヌキくんとキツネくんのけんかの止め方も、うどんをより好きになるという、うどん屋さんならではの方法がすごい。
タヌキくんも、キツネくんも、おじいさんも、うどんも、みんな笑顔で幸せになれたのは、おじいさんの知恵と優しさがあったからこそなのでしょう。
笑顔も心意気も、とても素敵なおじいさんです。
とてもうどんを美味しそうに食べる2人
さて、この絵本で最初から最後まで一貫しているのは、うどんがおいしそうなところです。
中でも、タヌキくんとキツネくんが、うどんを食べるところがたまりません。
うどんをすする時の決まり文句、
「しこしこ、つるつる、もちもち、ぷりぷり」
が、本当に美味しそう。
うどんの食感が、口の中に広がってきてしまいます。
そして、飲み干すおつゆ・・・。
読んでいたらすぐにでも、うどんを食べに行きたくなります。
また、食べている時の表情も最高で、絶対に美味しいのが伝わってくるのです。
純粋に「食べたい!」と思わせるところも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
たぬきうどんときつねうどんを、本当のタヌキとキツネが作るというシチュエーションがおもしろい。
読めば、思い切りうどんをすすり、おつゆを飲み干したくなる美味しそうな絵本です。
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