作・絵:せなけいこ 出版:金の星社
家でウサギを飼うことになった女の子。
嬉しすぎて、色々な想像が広がります。
「ああだったらいいな、こうだったらいいな・・・」
そんな夢いっぱいの絵本です。
あらすじ
ある日、女の子がウサギをもらってきました。
お母さんに飼いたいとお願いしています。
家で飼えることになり、家を作り、毎日エサやりや家の掃除をしていきます。
色々な食べ物をあげながら、女の子は考えます。
どんどん大きくなったら、かごが小さくなる。
あんまり大きくなったら、かごに入れないから部屋の中に住めるようにしよう。
でも、もっと大きくなったら部屋いっぱいになって、家より大きくなったら屋根から飛び出しちゃうかも。
そうしたら、女の子は背中に乗って、ウサギと一緒に跳び回る。
みんなびっくりするだろうし、山だって飛び越えられる。
お月様までだって跳んでいける。
そしたら・・・。
女の子の楽しい想像はまだまだ続く。
『うさぎちゃん』の素敵なところ
- 夢が広がって行く想像の楽しさ
- ウサギへの語りかけで描かれる優しい物語
- 掃除などお世話の大変なところも描かれている
夢が広がって行く想像の楽しさ
この絵本の素敵なところは、ウサギちゃんは大きくなる想像をきっかけに、その想像がどんどん広がっていくところでしょう。
最初は、大きくなり過ぎたら住むところをどうしようという想像から、家を飛び出すくらい大きくなり、背中に乗って遊べるところまで想像が広がります。
そこまで広がればこっちのもの「あんなこともできるし、こんなこともできる」と、どんどん想像と夢が膨らんでいきます。
最後には月に行ってしまうほど。
この無限に広がる楽しい想像が、この絵本の大きな魅力。
「こんなに大きくなったらいいな~」
「世界一周も出来るんじゃない?」
「富士山のてっぺんに登れるよ!」
と、子どもたちもすっかりこの想像の世界に仲間入りしてしまいます。
「こうだったらいいな・・・」という、想像の楽しさに思う存分浸ることが出来るのです。
ウサギへの語りかけで描かれる優しい物語
そんな想像の世界は、女の子がウサギへ語りかけることによって進んでいきます。
「いっぱい食べて大きくおなり、うさぎちゃん」
「みんながびっくりするだろうな、うさぎちゃん」
「お月様まで跳んでゆこうよ、うさぎちゃん」
と、ひとりの想像ではなく、常に2人でいるところもこの絵本の素敵なところ。
この語りかけがあることで、心が通じ合う温かさを感じたり、想像がより生き生きとしたものになっているのです。
なにより、目の前にいるウサギの存在を強く感じられ、想像の世界の中でも目の前にいるまだ小さなウサギが同時に存在している感覚を与えてくれます。
だからこそ、この想像が本当になったらいいなと思わせてくれるのです。
同時に、お母さんが子どもに語りかけるような安心感や、温かさも感じさせてくれるもの魅力の一つ。
読んでいて、楽しいと一緒に、優しい気持ちにさせてくれます。
掃除などお世話の大変なところも描かれている
さて、そんなウサギを飼う楽しいところが盛り沢山なこの絵本。
でも、大変なこともちゃんと描かれています。
それが、ウサギのフンを掃除する場面。
しかめっ面に「わあ、くさいくさい」という言葉。
その様子はとてもリアル。
このリアルさが大切で、生き物を飼っていることを実感させてくれます。
たった一ページですが、この場面があるかないかはけっこう重要。
ウサギが生きていること。
生き物を飼うのは大変であること。
などを、実感させてくれるのです。
そして、これがあるからこそ、この絵本には目の前にウサギがいて、本当にご飯を食べているようなリアリティがあるのだと思います。
二言まとめ
一つの想像から広がって行く、とめどなく自由な想像の世界へ浸るのが楽しい。
ウサギちゃんへの愛情と、優しい言葉かけに、心がほっこり温まるで絵本です。
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