文・絵:服部美法 出版:大日本図書
幸せが絵になったような顔のおふくさん。
そんなおふくさんの家に、仏頂面の赤鬼がやってきました。
でも、おふくさんたちは動じません。
それどころか、あの手この手で赤鬼を笑わせようとしています。
あらすじ
山の奥深くに、おふくさんたちの家がありました。
おふくさんたちは、毎日ふくふくにこにこと暮らしていました。
そんなある日、突然赤鬼がやってきました。
赤鬼は、おふくさんたちを怖がらせるためにやってきたというのです。
でも、おふくさんたちは全然平気。
鬼に「笑いましょ」と勧めます。
しかし、鬼は笑いません。
そこで、おふくさんたちは、鬼と着せ替えごっこで遊ぶことにしました。
おふくさんたちは、一番上等で鬼に似合う服を着せました。
ですが、鬼は「鬼のパンツが台無しだ」と、怒ってしまいました。
失敗にめげず、今度は豆大福をごちそうすることに。
けれど、鬼は豆が大嫌い。
やっぱり怒らせてしまいました。
怒りすぎて、頬を大きく膨らませる赤鬼。
それを見て、おふくさんたちはいいことを思いつきます。
おふくさんたちは、今度こそ鬼を笑わせることが出来るのでしょうか?
『おふくさん』の素敵なところ
- 見ているだけで元気が出てくるおふくさんの姿
- 鬼の特徴を活かしきった説得力のあるやり取り
- やっぱり笑顔が一番だね
見ているだけで元気が出てくるおふくさんの姿
この絵本のなにより素敵なところは、見ているだけで元気が出てくるおふくさんの姿でしょう。
絵に描いたようなおかめ顔、ぷっくりもちもちのほっぺ、楽しそうな笑顔、元気いっぱい働く姿・・・。
どのページのどこを見ても、楽しそうな雰囲気しかありません。
鬼が来たって驚くどころか、その状況を思い切り楽しんでいるみたい。
そんな笑顔溢れる、どこまでもポジティブでパワフルな姿を見ていたら、元気にならない訳がありません。
絵本全体から、「これでもか!」というほどの、幸せで明るいオーラが出ているのが、この絵本の本当に素敵なところです。
まさに福の神。
見ているだけで、きっと元気をくれるでしょう。
鬼の特徴を活かしきった説得力のあるやり取り
ですが、鬼だって負けていません。
怖がらせることがアイデンティティー。
簡単に笑ってしまったら、鬼なんてやっていけないのでしょう。
この幸せいっぱいのおふくさんと、仏頂面の鬼の対照的なやり取りも、この絵本の見どころです。
あの手この手で笑わせようとしてくるおふくさん。
ですが、そこへのカウンターが、どれも鬼にちなんだ理由になっているのがおもしろいところ。
着せ替えごっこでは、鬼のトレードマークである鬼のパンツが目立たなくなると却下。
豆大福では、豆まきにちなんで、豆が大嫌いだと怒ります。
この納得感がすごい!
子どもたちも、
「確かに似合うけど、鬼のパンツ見えなくなっちゃうもんね」
「豆まきでも、投げられるしね」
と、鬼の気持ちに共感。
鬼を怖がるゆえに、鬼のことがよくわかっています。
やっぱり笑顔が一番だね
さて、そんな攻防の結末ですが、その方法は単純明快。
おふくさんも、鬼も、子どもたちも大笑いするものでした。
みんな全力の笑顔です。
このみんなで思い切り笑えるのも、この絵本の本当に素敵なところです。
難しいことは考えず、ただただ気持ちよく笑えます。
笑った後は、みんなすっきり楽しい気持ち。
まさに「笑う門には福来る」を形にしたような絵本です。
二言まとめ
笑顔が絶えないおふくさんと、絶対に笑おうとしない鬼のゆるい攻防が楽しすぎる。
読めば、笑いが溢れること間違いなしな、笑う門には福来る絵本です。
コメント