おふくさん(3歳~)

絵本

文・絵:服部美法 出版:大日本図書

幸せが絵になったような顔のおふくさん。

そんなおふくさんの家に、仏頂面の赤鬼がやってきました。

でも、おふくさんたちは動じません。

それどころか、あの手この手で赤鬼を笑わせようとしています。

あらすじ

山の奥深くに、おふくさんたちの家がありました。

おふくさんたちは、毎日ふくふくにこにこと暮らしていました。

そんなある日、突然赤鬼がやってきました。

赤鬼は、おふくさんたちを怖がらせるためにやってきたというのです。

でも、おふくさんたちは全然平気。

鬼に「笑いましょ」と勧めます。

しかし、鬼は笑いません。

そこで、おふくさんたちは、鬼と着せ替えごっこで遊ぶことにしました。

おふくさんたちは、一番上等で鬼に似合う服を着せました。

ですが、鬼は「鬼のパンツが台無しだ」と、怒ってしまいました。

失敗にめげず、今度は豆大福をごちそうすることに。

けれど、鬼は豆が大嫌い。

やっぱり怒らせてしまいました。

怒りすぎて、頬を大きく膨らませる赤鬼。

それを見て、おふくさんたちはいいことを思いつきます。

おふくさんたちは、今度こそ鬼を笑わせることが出来るのでしょうか?

『おふくさん』の素敵なところ

  • 見ているだけで元気が出てくるおふくさんの姿
  • 鬼の特徴を活かしきった説得力のあるやり取り
  • やっぱり笑顔が一番だね

見ているだけで元気が出てくるおふくさんの姿

この絵本のなにより素敵なところは、見ているだけで元気が出てくるおふくさんの姿でしょう。

絵に描いたようなおかめ顔、ぷっくりもちもちのほっぺ、楽しそうな笑顔、元気いっぱい働く姿・・・。

どのページのどこを見ても、楽しそうな雰囲気しかありません。

鬼が来たって驚くどころか、その状況を思い切り楽しんでいるみたい。

そんな笑顔溢れる、どこまでもポジティブでパワフルな姿を見ていたら、元気にならない訳がありません。

絵本全体から、「これでもか!」というほどの、幸せで明るいオーラが出ているのが、この絵本の本当に素敵なところです。

まさに福の神。

見ているだけで、きっと元気をくれるでしょう。

鬼の特徴を活かしきった説得力のあるやり取り

ですが、鬼だって負けていません。

怖がらせることがアイデンティティー。

簡単に笑ってしまったら、鬼なんてやっていけないのでしょう。

この幸せいっぱいのおふくさんと、仏頂面の鬼の対照的なやり取りも、この絵本の見どころです。

あの手この手で笑わせようとしてくるおふくさん。

ですが、そこへのカウンターが、どれも鬼にちなんだ理由になっているのがおもしろいところ。

着せ替えごっこでは、鬼のトレードマークである鬼のパンツが目立たなくなると却下。

豆大福では、豆まきにちなんで、豆が大嫌いだと怒ります。

この納得感がすごい!

子どもたちも、

「確かに似合うけど、鬼のパンツ見えなくなっちゃうもんね」

「豆まきでも、投げられるしね」

と、鬼の気持ちに共感。

鬼を怖がるゆえに、鬼のことがよくわかっています。

やっぱり笑顔が一番だね

さて、そんな攻防の結末ですが、その方法は単純明快。

おふくさんも、鬼も、子どもたちも大笑いするものでした。

みんな全力の笑顔です。

このみんなで思い切り笑えるのも、この絵本の本当に素敵なところです。

難しいことは考えず、ただただ気持ちよく笑えます。

笑った後は、みんなすっきり楽しい気持ち。

まさに「笑う門には福来る」を形にしたような絵本です。

二言まとめ

笑顔が絶えないおふくさんと、絶対に笑おうとしない鬼のゆるい攻防が楽しすぎる。

読めば、笑いが溢れること間違いなしな、笑う門には福来る絵本です。

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