どれにしようかな(3歳~)

絵本

作:つちだのぶこ 出版:学研教育出版

なにかを選ぶ時、よくやるのが「神様の言う通り」。

でも、「鉄砲撃ってバンバンバン」など、その後に歌が続くこともあります。

これがどんどん続くとさあ大変。

天の神様だって、いつ決めていいのか困ってしまうかも・・・。

あらすじ

日曜日、すみれちゃんは、お父さんお母さんと、おもちゃ屋さんへやってきました。

そこにはたくさんのおもちゃがあり、どれにしようか迷ってしまいます。

迷った末に、すみれちゃんは8つのおもちゃに決めました。

お母さんのところに持っていくと、買うのは一つだと言われてしまいます。

お父さんはそれを見て、「迷ったら神様に聞いてごらん」と言いました。

それを聞いていたのが、雲の上の神様たち。

急いですみれちゃんのところへ向かいます。

神様たちがおもちゃ屋さんに到着した時、すみれちゃんは「どれにしようかな、かみさまのいうとおり」を始める所でした。

そして、「なのなのな」で、すみれちゃんの指がクマのぬいぐるみで止まったのです。

クマさんは鼻を鳴らして大喜び。

・・・ところが。

「かきのたね」と、さらにおまじないが続いたからさあ大変。

選ばれたのは積み木セットでした。

ところがさらに「たまてばこ」と続きます。

選ばれたのは絵本。

「あぶらむし」「あかまめあおまめちゃいろまめ」「てっぽううってバンバンバン」・・・

神様も、おもちゃたちももう大変。

でも、すみれちゃんのおまじないは続きます。

一体どのおもちゃが選ばれるのでしょうか?

『どれにしようかな』の素敵なところ

  • 試したくなる楽しいおまじない
  • 本当に神様がどれにしようか決めている
  • おもちゃたちのぬか喜びの絶望感

試したくなる楽しいおまじない

この絵本の楽しいところは、どんどん出てくるおまじないでしょう。

定番の「どれにしようかな、かみさまのいうとおり」から、次々とおまじないが繋がっていきます。

「なのなのな」「かきのたね」「たまてばこ」・・・。

この自分の知らないおまじないが出てくるのが、まあ楽しい!

短いものから長いもの。

聞いたことあるものから、すみれちゃんが考え出したものまで。

きっと、お父さん、お母さんは知っているものもあるでしょう。

見ていると、自分でも使いたくなるし、オリジナルのおまじないも考えたくなってしまいます。

実際に、読んだ子どもたちが、「ぬ・い・ぐ・る・み」など、新しいおまじないを使っていました。

そんな風に、やって見たくなってしまう楽しさが、この絵本の素敵なところです。

本当に神様がどれにしようか決めている

でも、それだけでは終わりません。

このおまじないには秘密があったのです。

それは「かみさまのいうとおり」という言葉通り、本当に神様が選んでいるということ。

自分で選んでいるように見えて、実は雲の上から神様が選んでいたのです。

しかも、その選び方が、おまじないに合わせたものになっているのがまたおもしろいところ。

「かきのたね」だったら、柿の種をパチンコで撃ち、当たったおもちゃ。

「たまてばこ」なら、玉手箱をくわえた鳥が、玉手箱を開いたところにあるおもちゃ。

といったように、ちゃんとおまじないに合わせた決め方をしているのです。

ただ、そのせいで、すみれちゃんがどんどんおまじないを繋げていくと、神様の仕事量もどんどん増えていき大変なことに。

そのすみれちゃんの楽しそうな姿と、雲の上の神様たちの苦労のギャップも、この絵本のおもしろいところです。

おもちゃたちのぬか喜びの絶望感

さて、そんな選ばれたおもちゃたち。

選ばれるとスポットライトが当たり、大喜びです。

嬉しそうにするもの、偉そうにするものなど様々。

ですが、喜んだのも束の間、すみれちゃんの次のおまじないとともに、違うおもちゃへ行ってしまいます。

この時の、おもちゃの絶望感がすごい。

クマは崩れ落ち涙を浮かべ、積み木は崩れて目が点に、絵本は倒れて無気力感が滲み出ています・・・。

もう、喜びからの落差が物凄いのです。

かわいそうだけど、なんだか笑ってしまいます。

けれど、最後は納得感のある選択になっているところが、本当に素敵だなと思います。

二言まとめ

どんどん続いていくおまじないと、それに振り回される神様やおもちゃたちがおもしろい。

読むと、自分でもおまじないを作りたくなってしまう絵本です。

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