文・デザイン:佐武絵里子 写真:蓮見智幸 出版:福音館書店
色々なところで見かける矢印。
でも、じっくり見ることは、意外と少ないかもしれません。
そんな矢印の便利さや多様さを、実写で体験してみる絵本です。
あらすじ
矢印は先がとがっている方に行きなさいという印。
運動会会場と書かれた看板の矢印の方へ行くと・・・。
運動会に着いた!
運動会を頑張った後は、お弁当の時間。
食べたらトイレに行きたくなった。
トイレを探していると、「トイレ」という矢印を発見。
この矢印についていくと、トイレがあった。
運動会の次の日。
動物園にやってきた。
さっそく地図を見つけトラのいる場所を探した。
地図にも矢印があるけれど、トラの場所にどうやって行ったらいいかわからない。
そこで歩いていくと、ゴリラとトラの矢印を発見。
ついていくと、トラの吼える声が聞こえてくる。
やっぱり、矢印の通りに来たら、トラに会うことができた。
動物園を出ると、そこにもたくさんの矢印が。
踏切、公衆電話、自動販売機、ジュースの缶。
大きいものから、小さいものまで色々なところに矢印はある。
でも、ずっと矢印を見ていたら、色んなものが矢印に見えてきて・・・。
『やじるし』の素敵なところ
- 矢印の便利さを言語化してくれる
- 実写だからこそ矢印の便利さを体感できる
- 矢印からさらに発想を広げてくれる最後
矢印の便利さを言語化してくれる
この絵本の素敵なところは、矢印の便利さをわかりやすく言語化しているところです。
街中などで、よく目にする矢印ですが、その意味はなんとなく知っています。
「あっちに行けばいいんだな」と。
でも、「矢印がなんで便利なのか?」と言われて、ちゃんと説明するのは意外と難しいところ。
それをこの絵本では、きっちり説明してくれます。
「先がとがっている方に行きなさいという印だ」
「矢印は、私たちがどちらに進めば何があるかを知らせてくれる」
というように。
こうやって聞くと、改めて「矢印って確かに便利だな!」「すごい発明だな!」と思わせてくれるのです。
実写だからこそ矢印の便利さを体感できる
また、言葉だけでなく、実写でその便利さを体験させてくれるのも素敵なところ。
女の子を主人公に、その子が矢印に沿って、色々なところに行く姿が描かれます。
運動会に行き、会場でトイレを探す。
動物園で、見たい動物を探したり、食道へ行ったり、出口に向かったり。
行きたいこと、したいことを、矢印が助けてくれるのを、女の子とともに体験できます。
言葉だけでなく、感覚でも矢印の便利さがわかるのです。
矢印からさらに発想を広げてくれる最後
さて、これだけわかりやすく、矢印の凄さを伝えてくれるこの絵本ですが、それだけでは終わりません。
矢印から、一歩発想を広げてくれる作りも、おもしろいところです。
色んな矢印を探しているうちに、他のものもなんだか矢印に見えてきます。
そんな「矢印っぽいもの」を使った、ちょっとした遊びが出てくるのです。
これがあることで、矢印に見立てる遊びが生まれます。
似てるものを探したり、自分で新しい矢印を考え出したり。
こうして、矢印の性質を活かした、新たな遊びへ子どもたちの目を向けてくれるのです。
矢印の紹介だけでは終わらずに、次の遊びへ繋げてくれるのもこの絵本の素敵なところです。
二言まとめ
実写だからこその、本当に矢印を辿って歩いていく感覚がおもしろい。
矢印の便利さや多様さを、改めて感じることが出来る絵本です。
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