保育にファシリテーションを取り入れる

雑記

お元気様です!

登る保育士ホイクライマーです。

今回は、主体的な保育をする際に、必要不可欠だと思っているスキル「ファシリテーション」について書いていきます。

そもそも、ファシリテーションとはなにか?

それは、

議論を円滑に進める技法

のことです。

よく、会社の会議などにおいて求められるスキルですが、実は保育園で子どもたちにも使えます。

むしろ、これからの保育には必須となる力だと感じています。

保育にファシリテーションを組み込むことで、子どものアイディアを膨らませたり、遊びを発展させることが出来るでしょう。

  • 子どもと相談しながら保育を作っていきたい
  • 行事の内容を子どもと考えたい
  • ファシリテーションってかっこいい!

と思っている方には、特に参考になると思います。

では、いってみましょう!

ファシリテーションってどんなもの?

まず、ファシリテーションとは、

議論を円滑に進める技法

です。

では、具体的にはどんなことが求められるのでしょうか?

それは、

  • 議論の場や、どんな風に議論するのかという形式を創る(場のデザイン)
  • 出た意見を受け止めて、考えを引き出す(対人関係)
  • 意見を整理して、わかりやすくする(構造化)
  • 意見をまとめてわかちあう(合意形成)

という、4つのスキルです。

簡単に言うと、議論の場を創り、意見を引き出して、整理し、結論を出すまでを、主導する力となります。

このファシリテーションを行う人のことをファシリテーターと言います。

実は保育でも使っているファシリテーション

ただ、これって実は保育の中でも行われていると思いませんか?

例えば、散歩に行く前の片づけを嫌がっている場面。

  1. おもちゃで遊び続ける子に、保育士が話しかけます。(場のデザイン)
  2. 子どもが「いや!」と言うのに対し、「まだ遊びたいの?」と子どもの気持ちを受け止める(対人関係)
  3. 遊んでいると公園に行けないことや、公園に行くとどんな楽しいことがあるか伝える(構造化)
  4. あと少しだけ遊んだら片付けるなど、妥協点を見つける(合意形成)

こんな風に、嫌がる子どもを次の行動に促す時などは、まさにファシリテーション。

他にも、活動を始める時や、子どもと一緒に遊んでいる時、子どもの話を聞く時など、けっこうファシリテーションしていると思います。

そして、ファシリテーションがとても有効であることも、感じてもらえていると思います。

ファシリテーションの本当の力

しかし、ファシリテーションが本当の力を発揮するのは、集団での議論です。

クラス全体でなにかを決めるような時に、大きな力を発揮します。

保育園では、特に行事で使うことになるでしょう。

意見を聞きつつ自分の意見も出せる、年中・年長クラスで使ってみるのがおススメです。

ファシリテーションを使うと、なにがいいのか?

それは、思いもよらない化学反応が起きること。

子どもと一緒に話し合っていくことで、保育士の頭には微塵もなかったようなアイディアが出たり、子ども同士で意見をどんどん発展させて磨き上げて行ったりと、考えもしなかったものが出来上がったりするのです。

そして、自分たちで作り上げたというのが、子どもたちのモチベーションにも繋がり、行事そのものへの意欲や愛着が、驚くほど大きいものになります。

これは、色々な意見を持った人がいるという、集団だからこそ起こるもの。

そして、そんな多種多様な考えをまとめていき、なにかしらの合意へ導くのが、本当のファシリテーションなのです。

保育園でファシリテーションをするための具体的な方法

では、保育園の中で、どんな風にファシリテーションをしていけばいいのでしょう?

ここからは具体的に、その方法を紹介していきます。

ぼくはファシリテーションをする時に、大きな模造紙を使います。

その模造紙を中心に子どもが車座になり、話し合いをしていきます。

そこで現在の議題や出た意見を模造紙に描き込み、視覚化して意見を整理していくのです。

視覚化がわかりやすくできていないと、今なんの話をしているのかや、どんな意見が出ているのかわからなくなり、議論についていけない子が出てきてしまいます。

色分けや、矢印などを使い、直感的にわかりやすくしていきましょう。

まず、議題を伝えます。

例えば、「発表会でなんの劇をやるか?」といったようなものです。

ただ、いきなり最終目標を考えようとすると、あまり広がって行きません

そこで、小さな議題も設定します。

劇の例であれば「創作劇にするか、絵本など元々あるものを演じるのか?」といった感じです。

最初は2択など、わかりやすい議論から入っていくと、ウォーミングアップになります

2択でも、「どちらにはどんないい面があるか?」「自分はなぜそちらがいいのか?」など、しっかりと話し合って決めていきましょう。

ここで重要なのは、出た意見をすべて模造紙に記入していくということ。

「創作劇」「もともとあるもの」と記入し、その下に、それぞれがいいという子の意見を描き込んでいきます。

決まったら、そちらに赤丸をつけるなど、わかりやすくしておきましょう。

ここで、大枠を決めたら、具体的な内容に入ります。

では、創作劇になった形で進めていきます。

  1. どんな話にしたいかキーワードを出していく。
    まずは自由に話の材料を出していってもらいます。「楽しい」「宝物」「怖い」「ドキドキ」「ドラゴン」など色々なワードが出てくるので、全部書き出していきましょう。
  2. ワードが出そろったら、まとめられるものをまとめて整理する。
  3. どのワードを使うか、繋げるかをを考える。
    みんなが使いたいワードを中心に、どれを繋げるかを考えていきます。繋げる中で起承転結のどの部分にどのワードを使うかも意識しておくと、繋がりを考えやすいです。
  4. 繋がったワードから、話のあらすじを考え伝える。
    抽象的なワードが多く、あらすじを作れない場合は、決まったワードを子どもたちと具体化していきましょう。例えば、「楽しい」というワードなら「だれが?」「なにが?」などの質問をしていくと、具体的になっていきます。
  5. あらすじへ世界観の肉付けをしていく。
    「なぜ?」を中心に、どんな登場人物が必要かや、行動への動機づけをしていきます。物語の最初から順を追って作っていき、途中で因果関係に矛盾が起こったら、物語をさかのぼって解決していくとやりやすいです。起承転結を作り、一つの物語として完成させます。
  6. 登場人物の調整。
    劇なので、クラス人数に合わせた役数が必要です。ここは大人が物語と矛盾のないようにしながら、必要な役や人数を設定するといいでしょう。もちろん子どもと出来るならそれに越したことはありませんが、難易度はかなり高いです。
  7. 場面割りと役決め
    役の人数に合わせた劇向けの場面割りをします。どの場面で、どの役がどんな風に動くのかを子どもに伝えつつ、役決めを行います。

これで創作劇の物語は完成です!

ここからセリフを考えたり、動き方を考える段階へと移ります。

基本は、

子どもから意見をもらう→整理する→議論が止まったらいくつか例を出してみる→新しい意見が出る→整理する・・・

という繰り返しです。

その中で、視覚的にわかりやすくしていくと、より子どもの議論が活発になるので意識して見てください。

注意点:多数決やじゃんけんを使わない

議論を進めていく中で気を付けて欲しいことがあります。

それは、大人が多数決やじゃんけんを使わないということです。

ファシリテーションはよりよい合意形成を生み出すための力です。

そこで多数決やじゃんけんを使ってしまうと、「自分の意見は受け入れられなかった」「本当はやりたくないのに」という気持ちが生まれてしまいます。

ファシリテーションは、物事の白黒を決める力ではありません

それでは、「自分たちで作ったもの」「自分たちで決めたこと」ではなくなってしまうのです。

でも、禁止してしまうのは乱暴ですし、「議論ってこうやって作るんだ」という気付きにも繋がらなくなってしまいます。

そこでおススメなのは、多数決やじゃんけんになりそうな時に、「本当にそれでいいのか聞いてみること」です。

互いの意見を伝える時間を作ったり、両方が納得する方法はないか聞いてみると、案外いい意見が出たりします。

すると、白黒つけなくても決められることがわかってくるのです。

ただ、これは急に言われても難しいので、日々の生活の中である程度経験していることが大切です。

日々少人数での話し合いができるからこそ、大人数での話し合いもできるのです。

なので、日常的にファシリテーションをしてみてください。

子どもの思考パターンが大きく変わることを実感できるはずです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は合意形成を導く力「ファシリテーション」を、保育で活かす方法についてお話してきました。

きっと、保育の中で当たり前に使っているコミュニケーションと、ファシリテーションがとても似ていることに気付いたのではないでしょうか?

ファシリテーションスキルを磨くことで、子どもの主体性を育てる保育力へと繋がっていくと思っています。

また、保育以外でも職員会議や研修など、多くの場面で非常に使えるスキルでもあります。

これからの未来で必要なのは、合意形成する力です。

世界は非常に繊細なバランスで繋がり合っています。

今の子どもたちは、これまでよりも多種多様な人や、価値観に出会うことになるでしょう。

そこでは白黒つかないことの方がはるかに多く、互いにちょうどいいところを探していかなければなりません。

この感覚の根っこを幼児期から育てるのは非常に重要なことなのです。

大人も子どもも、建設的な話ができるようになっていきたいですね。

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