作:山﨑克己 出版:偕成社
男の子の家にはある秘密があった。
なんと、カタツムリなのだ。
これは、そんなカタツムリハウスに住む家族の、ある嵐の一日を描いた物語。
あらすじ
あるとても天気のいい日。
お母さんとネコのミケはおつかいに出かけた。
ところが、雨が降ってきたので、男の子はお母さんに傘を届けに行くことに。
しかし、雨も風も強くなり、男の子の傘が壊れてしまった。
雷も鳴り出した。
でも、お母さんの傘はささない。
壊れたら困るから。
レインコートの中までずぶ濡れになり、寒くて震えだした時、カタツムリのボクンチが助けに来てくれた。
男の子の家は、カタツムリで出来ていたのだ。
男の子はボクンチで服を着替え、おやつを食べると元気になった。
ボクンチが進んでいくと、タクシーが立ち往生している。
倒木で道がふさがってしまったのだ。
声をかけると、お客さんを送って欲しいと頼まれた。
お客さんはおばあさんとダックスフント。
お客さんを送り届けると、そこにはおかあさんとミケがいた。
一件落着かと思いきや、ダックスフントが吠えた声にミケがビックリ。
木の上へ登ってしまった。
ボクンチが木をするする登り、ミケのところに行くとそこには・・・。
『ぼくんちはボクンチ』の素敵なところ
- カタツムリの殻に住むという夢のような家
- カタツムリの特性を活かしきった冒険
- 嵐の激しさと、家の中の快適さのギャップがすごい
カタツムリの殻に住むという夢のような家
この絵本のなによりもおもしろいところは、家がカタツムリというところでしょう。
最初は変わった形の家かと思いきや、まさか動いて迎えに来るとは。
「カタツムリが家になってるー!?」
と、子どもたちもいいリアクション。
しかも、その家の中の快適そうなこと。
ちゃんと、一人一部屋あり、窓もついています。
ベッドだけでなく、ハンモックでのくつろぎの部屋も完備。
リビングには寝転べるソファーだってついています。
ウォータースライダーのようなすべり台で移動する作りも、遊び心が詰まっています。
さらにはカタツムリもかわいい。
こんなの住んでみたくならないはずがありません。
まさに夢のマイホーム。
カタツムリハウスの、家の中を見ているだけで楽しいのです。
カタツムリの特性を活かしきった冒険
でも、楽しいだけでは終わりません。
その機能性もふんだんに発揮されます。
特に強いのは雨の日。
濡れてももちろん平気だし、雷だって怖くありません。
どしゃぶりでもぐんぐん進みます。
けれど、それだけではありません。
足がないから、悪路もへっちゃら。
高い木にだって余裕で登れます。
カタツムリならではの能力は家を背負っても健在で、思う存分発揮してくれています。
このカタツムリらしさもこの絵本の楽しいところです。
嵐の激しさと、家の中の快適さのギャップがすごい
さて、そんな快適で機能的なカタツムリハウスですが、それを際立たせているのが外と中のギャップです。
外は台風を越えるような大嵐。
風は横殴り。
雷は鳴り響き、雨は視界を塞ぐほど降り注いでいます。
街行く人も必死の形相で、その激しさが思いっきり伝わってきます。
そんな中、家の中ではソファーに寝転び、漫画を読みながらおやつを食べる男の子。
部屋の暖かさが伝わってきます。
傘を持って嵐の中を進んでいたのが信じられないくらい。
これを見たら、心の底から「いいな~」と思ってしまいます。
カタツムリハウスに住みたい気持ちを、最大限膨らませてくれる作りも、この絵本の素敵なところです。
二言まとめ
嵐も悪路もへっちゃらで、住み心地もよさそうなカタツムリハウスの魅力が詰った。
読めば確実に、こんなおうちに住みたくなる絵本です。
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