コートニー(4歳~)

絵本

作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 出版:ほるぷ出版

家でイヌを飼うことが許された姉弟。

貰って来たのは、誰も貰い手がいないおじいさんイヌでした。

両親はケチをつけましたが、このイヌがとてもすごくて不思議なイヌだったのです。

あらすじ

ある日、姉弟は両親に「イヌが欲しい」と言った。

なんとか両親を説得し、飼ってもいいということになった。

早速、姉弟は野犬収容所にイヌをもらいにいった。

でも、どれもいまいち。

そこで、係のおじさんに「だれも欲しがらないイヌはいない?」と聞いた。

おじさんはコートニーと言う、どんなイヌかも、どこから来たかも、だれも知らないじいさんイヌを紹介してくれた。

姉弟はコートニーを連れて帰った。

両親はコートニーを見ると、じいさんで血統書付きではないとケチをつけた。

ひとまず、その日はコートニーを台所で寝かせた。

翌朝、コートニーがいなかった。

両親は「ちゃんとしたイヌにしないからだ」と姉弟に言う。

でも、その日の午後、コートニーは大きなトランクを引きずって戻ってきた。

トランクからシェフの帽子とエプロンをつけると、あっという間に美味しい料理を作り、ウェイターの服に着替えて家族のテーブルを回った。

食事している間はヴァイオリンを弾いてくれ、曲芸師になり赤ん坊を喜ばせた。

ある日、家が火事になった。

家族は外で消防隊を待っていたが、赤ちゃんとコートニーがいない。

お母さんが悲鳴をあげた時、コートニーが赤ちゃんを抱え、2階の窓から梯子を降りてくるのが見えた。

家はすぐに修理され、いつもどおりの暮らしに戻った。

そんなある朝、コートニーがいなくなった。

トランクもなくなっていた。

警察にも届けたが、コートニーは見つからなかった。

その夏、一家は海辺へ出かけた。

子どもたちがボートに乗っていた時、事件は起こった・・・。

『コートニー』の素敵なところ

  • 不思議過ぎるイヌのコートニー
  • 両親のケチをことごとく跳ね返す爽快さ
  • コートニーらしい最後の場面

不思議過ぎるイヌのコートニー

この絵本の魅力はなんといっても、コートニー自身でしょう。

どんなイヌかも、どこから来たかも誰も知らない。

どこから持って来たのかわからないトランク。

料理から家事、曲芸までなんでもできる二足歩行で歩くイヌ。

どこかのネコ型ロボット並みに、なんでもできてしまいます。

でも、特にしゃべるわけでもなく、すべてをサラッとこなしていく姿に、おじいさんの貫禄があります。

こんなイヌが魅力的でない訳がありません。

子どもたちも、

「コートニーすげー!」

「ヴァイオリンも弾けちゃうの!?」

「中に人間が入ってるんじゃ・・・」

と、すご過ぎて疑われてしまうほど。

家事から赤ちゃんを助けるところなど、まさにヒーローの風格です。

両親のケチをことごとく跳ね返す爽快さ

そんなコートニーですが、両親はあまりよく思っていません。

雑種で血統書がついてない「ちゃんとしていないイヌ」だからです。

ことあるごとに、両親はケチをつけます。

貰ってきた時。

コート―ニーがいなくなった時など。

そして、毎回言うのです。

「ちゃんとしたイヌにしないからだ」と。

しかし、そのたびにケチを大きく上回ってくるのがコートニー。

料理をし、家事をし、赤ちゃんを救い・・・。

と、「ちゃんとしたイヌ」にできないことをやってのけます。

これがなんとも爽快。

「ほら!コートニーすごいでしょ!!」

と、子どもたちも姉弟とともに誇らしげな気分にさせてくれるのです。

コートニーらしい最後の場面

これは最後の場面にも繋がります。

火事で赤ちゃんと助けた後、またいなくなったコートニー。

両親はやっぱりケチをつけます。

今回はコートニーが戻ってくることはなく、見つかることもありませんでした。

そんな中、海で遊んでいた時に起こった事件。

この事件を解決するのが謎の存在。

誰も姿を見たものはいませんが、確実に存在する救世主。

きっと、コートニーなんだろうなと思いつつ、真相は明かされません。

でも、この不思議さが、得体のしれないコートニーらしい。

「きっとコートニーなんだろうな」

「コートニーは今頃なにをしているんだろうな」

と、想像が膨らむ最後の場面も、この絵本の素敵なところです。

二言まとめ

コートニーの得体の知れなさと、イヌ離れした能力が爽快でおもしろい。

最初から最後まで不思議が止まらない、不思議を楽しむ物語です。

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