作:五味太郎 出版:偕成社
小さな鳥が、どこまでも飛んでいける方法を考えついた!
と、思ったら早速壁が立ちはだかった。
そこで小鳥は考えて考えた結果・・・。
あらすじ
小さな鳥が飛んできた。
小鳥はちょっと飛ぶと、木にとまり木の実を食べて一休み。
また、ちょっと飛んで、ちょっと休む。
小鳥は思った。
こんな具合にっていけば、ずっと遠くまで飛んでいける!
けれど、少し飛んでいくと海に出た。
海には何もない。
休むところも木の実もない。
小鳥は考えた。
向こうまで続く道があればいい。
でも、自分は飛べるから、道じゃなくていいことに気付いた。
そこで、木の実がある島が点々とあればいいと考えた。
さらに、それが船ならもっといい。
むしろ、カメやクジラの背中に木が生えていたら、最高かも。
お話も色々出来そうだし。
小鳥はたくさんのおもしろそうなアイデアを考えた結果・・・。
『とんでやすんでかんがえて』の素敵なところ
- 子どもらしいシンプルでかわいい理屈
- どんどんつながる空想の楽しさ
- 一周回ったまさかの結論
子どもらしいシンプルでかわいい理屈
この絵本の始まりは、小さな鳥の思い付き。
ちょっと飛んで、ちょっと休むを繰り返せば、どこまででも飛べるんじゃないか?
このシンプルな発想が、子どもらしいシンプルさでなんともかわいいのです。
シンプルさゆえに、子どもにも伝わりやすく、
「たしかに!」
「ぼくも走った後休む!」
など、ものすごい共感を得られている様子。
どこまで飛んでいくのかワクワクします。
と、次の瞬間、一面に広がる青い海。
それを見た瞬間の、「あ・・・」という、小鳥と子どもの絶望感は、何とも言えないおもしろさ。
希望が一瞬で打ち砕かれてしまうのです・・・。
どんどんつながる空想の楽しさ
けれど、この小鳥はちょっとやそっとじゃ諦めません。
頭の中で、渡る方法を考えます。
この連想ゲームみたいな想像も、この絵本のとても楽しいところです。
島があれば渡れるはずなのに、それだけでは終わりません。
島より船の方が楽しそう。
船より、カメやクジラの方がもっと楽しそう。
など、どんどん楽しそうな方へ想像が膨らんでいきます。
多分、途中で「遠くまで飛んでいく」という目的は、何度か忘れていることでしょう。
小鳥の想像を聞いているうちに、子どもたちも楽しくなり、
「気球いいな~」
「サメとかもいいんじゃない!」
「飛行機は!?向こうまで連れてってくれるよ」
など、想像がさらに膨らんでいくのです。
一周回ったまさかの結論
さて、考えに考え抜いた結果、小鳥はある結論に辿り着きます。
それは、「ちょっとずつ飛べば、遠くまで飛んでいける」という思いつきも、「休む場所があれば海の向こうに行ける」という想像も、すべて過去にしてしまうほど斬新なもの。
「えぇー!?」とずっこけてしまう結論でした。
「これまでの時間は一体・・・」と思いつつも、「まさに子どもだなー」と思えるような切り替えの早さ。
最初から最後まで、子どもならではの脈絡のなさを思い切り発揮している小鳥なのでした。
二言まとめ
小さな鳥の、子どもらしい楽しい想像力に、見ている方も想像力をかきたてられる。
一緒に考えるのがたまらなく楽しい絵本です。
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