もうすぐ一年生(5歳~)

絵本

作:桑原伸之 出版:小峰書店

小学校って未知の世界。

「小学校に行ったらどうなるんだろう?」

そんな疑問に一問一答で答えてくれるのがこの絵本。

きっと不安を解消し、期待に変えてくれるでしょう。

あらすじ

もうすぐ一年生。

小学校について、気になることがたくさんある。

先生は怖くないの?

とっても優しいよ。

それに、みんなの知らないこと、たくさん教えてくれるよ。

海の向こうになにがあるか、教えてくれるかな?

ひらがな全部書けないの。

大丈夫。

うみ、そら、いるか、はっぱ、おひさま、それからそれから、自分の名前、きむらしゅん。

ほら、こんなに書けた。

私、声が小さくて、しゃべるのが遅いの。

声が大きい子、小さい子、しゃべるのが速い子、遅い子、かけっこの速い子、遅い子。

色んな子がたくさんいるよ、楽しいね。

私、このままでいいんだよね?

絵を描く時間はあるよね?

もちろんあるよ。

海や、友だちの顔の絵、大好きな絵をたくさん描けるよ。

学芸会では大きな絵を描くのかな?

友だち出来るかな?

男の子、女の子、髪の長い子、短い子、隣に座る子はどんな子かな?

なぞなぞしてみようかな。

すぐ友だちになれなくたっていいよね。

他にも「大好きなサッカーできるよね。」「まだ、時計が読めないの。」「私、朝寝坊しないで起きられるかな?」と色んな質問が飛び出します。

どんな答えを返してくれるのでしょうか?

『もうすぐ一年生』の素敵なところ

  • 一年生へのたくさんの疑問に答えてくれる
  • 優しく具体的な答えで背中を押してくれる
  • 今との共通点を伝えてくれる

一年生へのたくさんの疑問に答えてくれる

この絵本では、小学生になることへの疑問や不安に一問一答で答えてくれます。

子どもにとって、小学生になることはとても大きな変化です。

期待と一緒に、たくさんの不安があることでしょう。

字が書けない、時計が読めない、自分のしたいことが出来るかな?

などなど、その内容は一人ひとり違うと思います。

そこで、たくさんの疑問に、一問一答で答える形式が活きてきます。

たくさんの疑問の中には、きっと自分の疑問もあるはずです。

その疑問に答えてもらえることで、心を軽くしてくれるのがとても素敵なところです。

優しく具体的な答えで背中を押してくれる

また、答え方がとても優しく、具体的なのもいいところ。

語りかけるように、優しく「大丈夫」と寄り添ってくれるのです。

その寄り添い方が素敵で、疑問を必ずしも解決はしてくれるわけではありません。

「友だち出来るかな?」という疑問に、「すぐ友だちになれなくたっていいよね」とはっきりとは答えていなかったり、

「時計が読めないの」という不安に、「早く、時計が読めるようになりたいな」と「できるようになる」とは言わなかったり、

答えを与える訳ではないのです。

けれど、しっかりと不安や疑問に耳を傾け、話を聞いてくれる。

そんな相談に乗ってもらったような安心感があるのです。

同時に、答えが具体的なのも素敵なところ。

しゃべるのが遅い子には「声が大きい子、小さい子、しゃべるのが速い子、遅い子、かけっこの速い子、遅い子」と「色んな子」の中身を、

ひらがなが全部書けない子には「うみ、そら、いるか、はっぱ、おひさま、それからそれから、自分の名前、きむらしゅん」と書けることを、

具体的に伝えてくれます。

これにより、ただ「大丈夫」と言われるよりも説得力が増し、小学校でのイメージも湧きやすいのです。

今との共通点を伝えてくれる

さて、変化の多い小学校ですが、変わらないこともけっこうあります。

この変わらないところにも目を向けさせてくれるのは、この絵本のおもしろいところだと思います。

「絵を描く時間はあるよね?」「大好きなサッカーできるよね?」「ぼくの大好きなカレーライス出るかな?」などは、小学校でも変わらずあることです。

小学校へは変化にばかり目が向きがちです。

ですが、こうして変化のないことへも目を向けてくれることで、変わらないことがけっこうあることにも気付かされます。

自分の大好きなことが、小学校でも変わらずあるという共通点は、とても不安を和らげてくれることでしょう。

そこへ目を向けさせてくれることも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

小学校への不安や疑問に、一問一答形式で相談に乗ってくれる。

話を聞いてもらうことで、心の不安がふっと軽くなり、小学校が楽しみになる絵本です。

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