作:穂村弘 絵:木内達朗 出版:岩崎書店
黒装束を着て、闇夜に紛れる忍者。
しかし、もしも忍者が目立ってしょうがない赤色だったら。
そんな忍者は任務を遂行できるのか。
少しシュールでおもしろいお話です。
あらすじ
秘密の巻物を狙ってお城に忍び込んだ、全身真っ赤な赤忍者。
でも、目立ってしまいたちまち侍たちに見つかって崖際へと追い詰められてしまいました。
「ドロンドローン」と赤忍者が呪文を唱えると、赤いカラスに早変わり。
飛んで逃げていきました。
カラスの群れに入った赤カラス。
「赤いカラスがいるもんか」と他のカラスに突かれて真っ逆さまに落ちてしまいました。
そこで「ドロンドローン」と呪文を唱えると、赤いチョウチョに早変わり。
仲間のチョウチョと飛んでいると、虫取りに来た少年たちが。
たくさんの虫取り網に囲まれて捕まりそうになりました。
そこでまた「ドロンドローン」と呪文を唱え・・・。
ピンチの連続な赤忍者は、果たして逃げ切ることが出来るのでしょうか。
『あかにんじゃ』の素敵なところ
- リズム感のよい文章と覚えやすい決め台詞
- 忍者を目立たせるという発想
- さりげなく入れてくるシュールな笑い
この絵本の文章は歌うようなリズム感で聞いていてとても心地がいいです。
そのリズム感に子どもたちも引き込まれ目が離せなくなっています。
赤忍者がピンチになった時「あ、あぶない!」→「ドロンドローン」の決め台詞も子どもたちのワクワク感を盛り上げます。
そして、何より面白いのが忍者を目立たせるという発想です。
これが、すごく目立つ赤忍者が普通の忍者と同じ任務を真面目にやろうとしているのがさらに面白いところ。
本人は見つかるなんて微塵も思っていない様子なのです。
そんな赤忍者の姿もそうですが、変身するものや、オチも中々にシュールです。
それを物語の中に自然にしれっと入れてくるセンスはこの絵本ならではだと思います。
子どもは刻一刻と状況が変わる逃走劇に目が離せない。
大人は真剣な雰囲気の中に突如入ってくるシュールさに笑ってしまう。
そんな面白不思議な絵本です。
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