作:カズノ・コハラ 訳:石津ちひろ 出版:光村教育図書
夜だけ開いている図書館があります。
その利用者は動物たち。
みんな自分にピッタリの本を見つけることが出来る場所です。
でも、トラブルが起きることも・・・。
あらすじ
夜だけ開いている図書館があります。
そこで働いているのは女の子カリーナと、3羽のフクロウたち。
やってくるのは動物たちで、カリーナたちのおかげで、自分にピッタリの本を見つけることが出来ました。
ところがある日のこと・・・。
リスたちが、突然大きな音で楽器の演奏を始めたのです。
話を聞くと、コンサートで使う素敵な曲を探しているとのこと。
そこで、カリーナはリスたちをプレイルームに案内しました。
これで、リスたちは思いきりを演奏できます。
図書館はまた静かになりました。
夜遅く、カリーナが本の片づけをしていると、部屋の中に雨が降ってきました。
雨漏りかと思い、天井を見上げると、一匹のオオカミが泣いています。
降っていたのは、雨粒ではなく、大粒の涙だったのです。
カリーナがどうしたのかたずねると、読んでいたお話が悲しすぎて、先が読めなくなってしまったみたい。
それを聞くと、カリーナはオオカミを読み聞かせコーナーに連れていきました。
フクロウたちに本の続きを読んでもらうと、オオカミはようやくにっこりしたのでした。
そうこうしているうちに、フクロウがベルを鳴らしました。
図書館が閉まる合図です。
動物たちは、家へと返り始めました。
けれども、今日初めてやってきたカメだけは、動こうとしません。
全部読み終わるまで帰らないと言い張ります。
そこでカリーナは・・・。
『よるのとしょかん』の素敵なところ
- 図書館の機能を使ったトラブル解決
- ハロウィンのような、夜を感じる色使いのかわいい絵
- 働いている人たちの憩いの時間
図書館の機能を使ったトラブル解決
この絵本のおもしろいところは、図書館の色々な機能を使って、トラブルを解決していくところです。
演奏したいリスにはプレイルーム。
自分では読めなくなったオオカミには読み聞かせコーナー。
と、それぞれに合った図書館の機能を教えてくれます。
「図書館は静かに本を読むところ」というイメージが強いですが、この絵本を読むと図書館の色々な顔が見えてきます。
子どもたちも、
「うちの図書館にもプレイルームあるかな?」
「読み聞かせ行ってみたいな~」
など、いつもの図書館への興味がより広がっている様でした。
ハロウィンのような、夜を感じる色使いのかわいい絵
そんな図書館は、普通の図書館ではなく夜の図書館。
夜だけしか開いていない図書館らしく、雰囲気も普通の図書館とだいぶ違います。
この雰囲気を一言で表すなら、「ハロウィンっぽい」雰囲気。
オレンジを基調に、黒や紺色で彩られています。
動物が利用者だからか、木も生えていて、そこには星がぶら下がっています。
色や形、飾りつけなどから、夜であることをひしひしと感じさせてくれます。
これが、図書館に非日常感を生み、とてもワクワクさせてくれるのです。
いつもは寝ている時間の図書館を、のぞき見るような不思議なおもしろさ。
これもこの絵本の大きな魅力です。
働いている人たちの憩いの時間
さて、図書館は本の片付けに、トラブルにと大忙し。
閉まった後も掃除をしたりと仕事はあります。
でも、すべてが終わったら、カリーナとフクロウだけの幸せな憩いの時間が待っています。
みんなこの時間を楽しみに、仕事を頑張っているみたい。
頑張っている姿だけでなく、力を抜く時間や、その幸せそうな雰囲気を描いているのも素敵なところ。
そこでのカリーナとフクロウたちはまるで親子。
その姿から、この図書館をとても楽しくやっていることや、すごくいい図書館なのが伝わってきて、自分も行ってみたくなるのです。
二言まとめ
夜の図書館というワクワク感と、そこで起こるトラブルを、図書館らしい方法で解決していくのがおもしろい。
見ていると、夜の図書館でフクロウに読み聞かせしてもらいたくなる絵本です。
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