あかちゃん(3歳~)

絵本

作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 出版:冨山房

赤ちゃんがいるとどんな感じなんだろう?

それを、お兄ちゃんが教えてくれます。

かわいい時も好きな時も、大変な時も嫌いな時もあるんです。

あらすじ

男の子の家には、小さな赤ちゃんがいる。

赤ちゃんって・・・

ご飯をめちゃくちゃにする。

乳母車に乗せて、散歩に連れていく。

お風呂に入れる時は、男の子も手伝う。

小さなベッドで眠る。

男の子はミルクを上げる時など、赤ちゃんが好きな時もあるし、

お母さんが赤ちゃんを抱っこしている時など、嫌いな時もある。

赤ちゃんはまだ男の子と遊べない。

早く大きくなって欲しい。

『あかちゃん』の素敵なところ

  • 子どもの目線で見た等身大の赤ちゃん
  • お兄ちゃんの赤ちゃんに対する純粋な気持ち
  • 赤ちゃんが大好きなお兄ちゃんの姿

子どもの目線で見た等身大の赤ちゃん

この絵本の素敵なところは、兄弟という、子どもの目線で見た赤ちゃんが描かれているところです。

ご飯をぐちゃぐちゃにする、乳母車で散歩に行く、小さなベッドで眠る・・・。

どれも、見たままの赤ちゃんの姿をそのまま描いています。

そこに「いい」「わるい」というような気持ちはありません。

ただ、赤ちゃんという自分とは違う存在に驚き、関わっていることが感じられます。

だからこそ、子どもにも、その感覚が伝わりやすいのでしょう。

「赤ちゃんってこんな感じなんだ」と、素直に思えるのです。

同時に、赤ちゃんがいる子には、「うちも一緒だよ」と共感が持てるのだと思います。

お兄ちゃんの赤ちゃんに対する純粋な気持ち

そんな赤ちゃんに対するお兄ちゃんの気持ちは、楽しいものばかりではありません。

お母さんが、赤ちゃんを抱っこしたりしていると、赤ちゃんを嫌いになる時もあるのです。

この兄弟特有の、嫌な気持ちも表現しているのがとても素敵なところ。

きっと、兄弟がいる子は、この気持ちにとても共感するでしょう。

そして、絵本の中で描かれることで、「自分だけじゃないんだ」と安心すると思います。

でも、好きな気持ちと嫌いな気持ち、両方を持ちつつも、みんな思っているのは絵本の最後に出てくる言葉。

「早く大きくならないかなあ」

ではないでしょうか?

兄弟が日々感じている思いを、言葉にしてくれているのも、この絵本の魅力的で心強いところです。

赤ちゃんが大好きなお兄ちゃんの姿

さて、そんなお兄ちゃんは、絵本の中で描かれる姿を見ているだけで、赤ちゃんに興味津々なのが伝わってきます。

乳母車を一緒に押したり、お風呂に入れる手伝いを楽しそうにしていたり、ベビーベッドをのぞき込みに来たり・・・。

その一挙手一投足から、赤ちゃんが大好きで、気になって、大切にしていることが伝わってくるのです。

それが絵本全体の「赤ちゃんがいたら楽しそう!」という空気感に繋がっているのでしょう。

赤ちゃんがいない子には、

「大変そうだけど、やっぱり赤ちゃんがいるって楽しそうだな~」

と思わせてくれる。

そして、赤ちゃんがいる子には、

「そうそう、けっこう大変なんだよね。かわいいんだけど」

と共感させてくれるところが、この絵本の懐の深いところです。

二言まとめ

お兄ちゃんから見た赤ちゃんの姿や、赤ちゃんへの気持ちがありのままに描かれた。

赤ちゃんの大変さと、かわいさの両方を等身大で伝えてくれる絵本です。

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