パンでんしゃ(3歳~)

絵本

文:有田奈央 絵:喜湯本のづみ 出版:交通新聞社

パン電車は、全部パンで出来てる電車。

お客さんは、電車の中のパンを自由に食べられます。

でも、みんながパンを食べていくと、パン電車の様子が・・・。

あらすじ

ウサギは、おばあちゃんの家に行こうと、駅のホームで電車を待っていました。

ですが、現れたのはパンで出来たパン電車。

ウサギはびっくりしましたが、電車に乗ってみることにしました。

つり革から、イスまで中もパンで出来ています。

ウサギがパンを手に取り食べてみると、その美味しいこと。

しばらくすると、次の駅でブタが乗ってきました。

ブタもパンが美味しいことに気付き、ウサギと一緒に夢中で食べました。

次の駅ではクマが乗ってきました。

みんなでパンを食べていると、うさぎがあることに気付きます。

パン電車が少し小さくなっているのです。

さらに次の駅では、ネズミがたくさん乗ってきました。

ネズミたちもパンを食べると、パン電車はさらに小さくなっていきます。

そして、みんなでパンを食べ続け、車内のパンもとうとう最後の一つになりました。

最後の一つはメロンパン。

ですが、だれも譲らず、メロンパンの取り合いに。

すると、パン電車がはじけ飛び、動物たちも空高く飛ばされてしまったのです。

飛ばされた動物たちはどうなってしまうのでしょう?

ウサギはおばあちゃんの家に辿り着けるのでしょうか?

『パンでんしゃ』の素敵なところ

  • ホカホカで美味しそうなパンの数々
  • 食べるたび、小さく弱々しくなっていくパン電車
  • 予想外なパン電車の秘密

ホカホカで美味しそうなパンの数々

この絵本の素敵なところは、なんと言っても美味しそうなホカホカのパン。

絵を見ているだけで、こんがり感とふっくら感が伝わってきます。

しかも、バリエーションも豊富。

あんぱん、チョココロネ、クリームパン、バターロール、マヨコーンパン・・・。

まるで、パン屋さんかのような品揃えで、片っ端から食べたくなってしまいます。

極めつけは立ち昇る湯気。

焼き立てホカホカの香りが漂ってきそうです。

それを美味しそうに思い切り頬張る動物たちと、そのとろけるような表情を見ていたら、パンを食べたくなること間違いなし。

パンが美味しそう過ぎるのは、この絵本の大きな魅力です。

食べるたび、小さく弱々しくなっていくパン電車

そんな車内のパンですが、食べていくたび、パン電車の本体が小さくなっていきます。

しかも、最初はニコニコしていた表情が、疲れてヘロヘロになっていくのです。

でも、ウサギしかそのことに気付いていません。

なんなら、ウサギも気付きつつ、パンを食べ続けているから大変です。

子どもたちは、動物たちの食欲と、反比例して弱っていくパン電車にハラハラドキドキ。

「もう、食べない方がいいよ!」

「電車無くなっちゃうよ!」

「みんな気付いてー!」

と、状況のまずさを伝えようと必死です。

この動物たちと、子どもたちの温度感のギャップも、この絵本のとても楽しいところです。

予想外なパン電車の秘密

さて、パンを食べ過ぎ、取り合いになった結果、はじけ飛んだパン電車。

その最後の場面で、パン電車の秘密が明かされます。

パン電車を作ったのは、まさかの人物だったのです。

さらには、その作り方も。

これには子どもたちもびっくり。

「えー!?すごすぎ!」

「こんな風に作ったの!?」

「パン工場みたいじゃん!」

と、その人物の予想していたイメージとの違いに驚いていました。

ちゃんと、色々な伏線回収がされ、とてもすっきりした気持ちで終われるのも、この絵本の素敵なところです。

二言まとめ

パンと電車の夢の組み合わせと、パンを食べると電車が小さくなるというジレンマが楽しい。

なにはともあれ、読んだらパン屋さんに駆け込みたくなる、おいしそうな絵本です。

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