作:井上洋介 出版:ビリケン出版
この絵本に出てくる電車は、普通の電車じゃありません。
「こんな電車あったら楽しいだろうな」
という、アイディア電車が次々と現れます。
あらすじ
不思議な電車が、ページをめくるたび出てきます。
最初に出てきたのは、タイヤの代わりに足がついてるお散歩電車。
ゆっくりのんびり進んでいきます。
次は、一人乗りの贅沢電車。
1人1両で、広々ゆったり過ごせます。
今度は、デコボコ線路を走る電車。
電車が跳ねるたび、お客さんの体も跳ねます。
カブトムシの形のカブトムシ電車は、夏休みに走る電車です。
お客さんは、夏休みに出かける家族です。
まだまだ出てくる不思議な電車。
次に出てくる電車はどんな電車でしょう?
『でんしゃえほん』の素敵なところ
- 自由過ぎる発想の電車たち
- 刺激される想像力と発見力
- リズミカルで心地の良い文章
自由過ぎる発想の電車たち
この絵本のなによりおもしろいところは、発想が自由過ぎる不思議な電車たちでしょう。
1つのタイヤに足が6本ついて、計24本の足で歩いている電車。
線路じゃなく電線の上を走る電車。
1人乗りの小さな車両が、5両連結して走っている電車。
など、どれも普段では想像もしないような電車ばかりです。
その内容も、「いいなー」と思うものから「怖そう」と思うものまで様々。
子どもたちも、
「これなら満員にならないからいいなー」
「落ちちゃうよ!」
「高いとこ怖いから乗りたくない!」
など、電車を見るたび、思い思いの反応をしていました。
刺激される想像力と発見力
こんなに不思議な電車を見ていると、興味も自然と高まるもの。
その電車や、乗っている人を見て、子どもたちの想像力や発見力が刺激されます。
「あそこから登れるんじゃない?」と、3階建ての電車に描き込まれた階段を発見したり、
夏休み電車を見て「これからおばあちゃんち行くのかな?」「お父さんお仕事かな?」「運転手さんがお父さんなんじゃない?」と、物語を想像したり、
「この人笑ってるから楽しいのかな?」と、お客さんの表情を見て気持ちや乗り心地を想像するなど・・・。
自分たちで、どんどん発見し、深堀っていくのです。
これはきっと不思議な電車のおもしろさと、描き込まれた絵があるからこそだと思います。
リズミカルで心地の良い文章
また、リズミカルで直感的な文章も、この絵本の魅力の一つです。
お散歩電車なら、
「ゆっくりのんびりおさんぽでんしゃ あわてずさわがずおさんぽでんしゃ でんしゃのおとはこつこつこつこつ」
贅沢電車なら、
「ひとりのりのぜいたくでんしゃ ごとんごととん ぜいたくでんしゃ」
というように、言っていても、聞いていても気持ちいいものになっています。
言葉もわかりやすく、「こつこつこつ」や「ブワンブワン」など擬音もたくさん使われていて、直感的に電車の動きが想像できるのも素敵なところ。
まるで、目の前を不思議な電車通過しているような気分になれるのです。
二言まとめ
想像もしていなかった不思議な電車が次々出てくる。
自由過ぎる電車を見ることで、自分の想像力も思い切り自由にしてくれる絵本です。
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