作:綾辻行人 絵:牧野千穂 編:東雅夫
自分の側に何かの気配を感じたことはありませんか。
目に見えないけど存在する空気人間。
空気人間の次の目標はあなたなのかもしれません。
あらすじ
空気人間って知ってる?
誰も気づいていないけど、世界中に大勢いるんだよ。
目に見えなくて、軽くて、形も大きさも自由自在。
空気人間は普通の人間に襲い掛かって空気人間に変えてしまう。
誰にも気づかれなくなって、この世から消えてしまうのとおんなじさ。
もう、君の後ろまで空気人間が来ているよ・・・。
『くうきにんげん』の素敵なところ
- 綺麗で明るいのに不気味な絵
- 徐々に不安感と恐怖心を大きくする語り口
- 見ている人を当事者にする構成
この絵本の絵はとても不思議です。
怪談絵本とは思えないほど、明るくて、開放的で綺麗です。
舞台も昼下がりの放課後。
まだまだ明るい時間です。
でも、登場人物が人間の体に動物の顔だったり、徐々に人が少なく閉じられた場所に移動していく流れなど、その色合いや鮮やかさとは対照的に不安感や恐怖心を感じさせる不気味さがあります。
それをさらに増幅するのが空気人間目線の語り口です。
空気人間がどういう存在か。
どうやって空気人間に変えるのか。
などを少しずつページを追ってこちらに語り掛けてきます。
そして、文の最後の繰り返し。
ここをほんの少し声色を変えて、最初は明るく、二回目は少し暗く読むと効果てきめん。
空気人間が二人いる感じがよく出ます。
そして臨場感が上がると「やだー!」「来ないで」などの声が・・・。
物語が進むと空気人間はさらに近くへ迫ってきます。
自分たちの後ろに。
この時の、実際に後ろにいそうな感覚は本当によくできています。
怖い話を聞いているだけでなく、実際に自分に迫っている感覚になれる本当に怖い本です。
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