作:野村たかあき 出版:講談社
世界にはたくさんの国があり食文化がある。
食べるものも風習も違うけど、一つだけ共通していることがある。
それは「おいしい!」ということ。
あらすじ
日本
朝の食卓に並ぶのは、ご飯、みそ汁、アジの干物や納豆。
一日の元気の源です。
「いただきます!」「おいしい!」
アルゼンチン
家族や親せきが集まって食べる食事「アサード」。
大きなお肉を大きな網で焼いたもの。
焼くのはお父さんの役目です。
「ケ リコ!」(なんて、美味しいんだろう!)
シンガポール
お正月に、家族や親せきが集まって、「魚生(ユーシェン)」を囲みます。
「魚生」は大きなお皿に山盛りにしたお刺身のサラダ。
箸で高くつまみ上げ、願い事を叫びながら混ぜると、願い事が叶うと言われています。
「タイハオチーラ!」(とってもおいしい!)
アメリカ・ニューヨーク
街角にはホットドックの屋台がたくさんあります。
ちょっとお腹が空いた時につい食べたくなります。
注文してお金を出す間に、もうできあがり出てきます。
「ディス イズ ヤミィ!」(これ、おいしい!)
まだまだ、韓国、スウェーデン、トルコ・・・などなど、世界の料理がたくさん出てきます。
『せかいのくにでいただきます!』の素敵なところ
- 世界の様々な食文化に触れることができる
- 世界の色々な言葉にも触れられる
- 全然違う食文化の共通点「おいしい!」
世界の様々な食文化に触れることができる
この絵本の素敵なところは、なんといっても世界の食文化に触れられることでしょう。
日本でも食べたことのある料理。
日本では見たこともない料理。
色々な料理が出てきます。
子どもたちも、
マルゲリータを見て「これ好き!おいしいよね~!」
トルコアイスを見て「楽しそう!食べてみた~い!」
など、思い出したり、興味を持ったりと、料理ごとに色々な反応を見せていました。
料理や文化の説明が、かなりわかりやすく具体的で、絵と合わせてどんなものなのかや、どんな味がしそうかを想像しやすいのも、子どもの興味を引くのだと思います。
また、スウェーデンのおやつ休憩「フィーカ」のように、料理だけでなく、それを食べる背景が紹介されているものもあります。
料理を通して、その国の雰囲気や考え方という、文化まで伝えてくれているのも、とても素敵なところです。
世界の色々な言葉にも触れられる
加えて、この絵本では、それぞれの国の言葉にも触れることができます。
食文化の紹介の後に、その国の言葉で「おいしい!」と書かれているのです。
子どもたちも、最初は「なにそれ~変なの~」と聞きなれない言葉に笑っています。
ですが、ページが進みたくさんの国の食文化や「おいしい!」を見ていくうちに、その多様性に気付くのか、笑ったりするでもなくそのまま受け入れるようになっていくからおもしろい。
「こんな風に言うんだ」
「ヤミィ知ってる!」
など、文化や言葉への興味へと変わっていっている様でした。
絵本内では、その国の文字もそのまま使われているので、見たこともない形に驚いている子もいました。
こんな風に、食を中心としながらも、文化、言葉、文字など、それぞれの国の多様性を色々な角度から、子どもたちに見せてくれるのです。
全然違う食文化の共通点「おいしい!」
さて、そんな多様性に溢れた文化の中で、すべての国に共通していることがあります。
食べ物を食べて「おいしい!」と思う感情です。
これは、どんな文化でも料理の内容でも変わりません。
たくさんの違いや多様性の中での自分と「一緒」なところ。
きっと、自分と全然違う文化の人とご飯を食べても、「おいしい!」と気持ちを通わせることができるだろうなと思わせてくれるのです。
たくさんの「違い」と、一つの「一緒」のその両方に触れ、気付かせてくれるのが、この絵本のとっても素敵なところです。
二言まとめ
世界の国の美味しそうな料理を通して、その食文化や言葉、文字にまで触れることができる。
たくさんの違いと、「おいしい!」という一緒に気付かせてくれる絵本です。
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