写真・文:小寺卓矢 出版:アリス館
外に行くと、色んな葉っぱが目に入る
色、形、質感・・・みんな違う。
そんな葉っぱを見るのが、もっと楽しく、興味深くなる絵本です。
あらすじ
葉っぱにはいろんな形がある。
カツラは丸。
ヨブスマソウは三角。
ポプラは四角。
シナノキは逆さにするとハート。
長さや太さも色々。
イヌコリヤナギ→ネコヤナギ→シダレヤナギ→エゾヤナギ→オノエヤナギと長くなり、
オノエヤナギ→バッコヤナギ→ドロヤナギ→ハコヤナギと太くなる。
ハリギリのように大きな葉っぱもあれば、ツルネコノメソウのようにとても小さな葉っぱもある。
葉っぱの顔も、ミヤマハンノキの丸顔、キタコブシの頭でっかちなどみんな違うし、
髪型だって、カシワのモジャモジャ頭や、イチョウのきっちりなかわけなど、みんな違う。
お肌も、つるつるのものからシワシワのものまで。
お化粧だって、ピンクやおしろい、パッチリメイク。
他にも特徴は様々。
どんどん葉っぱを見ていこう!
『いろいろはっぱ』の素敵なところ
- 写真で見る多種多様なおもしろい葉っぱ
- 葉っぱの違いを言語化してくれる
- ふんわりとした命の循環
写真で見る多種多様なおもしろい葉っぱ
この絵本の楽しいところは、写真で色々な葉っぱが見られることです。
形、質感、大きさ、色など、並べてみると、その違いに気づかされます。
形などのカテゴリーごとにわけて紹介されているのもおもしろく、一つの違いに注目して見ることで、それぞれの葉っぱの違いが際立ちます。
それぞれのカテゴリーに合わせ、並べてみたり、比べてみたり、たくさん集めてみたりなど、より興味を引く作りになっているので、子どもたちも、
「どんどん長くなってく!」
「こっちはすっごい大きくて、こっちはこ~んなにちっちゃいよ!」
など、その違いに興味をを持ち、楽しみやすくなっている様でした。
外で眺めるだけだと、2~3種類を比べるくらいになってしまいがち。
それを、この絵本だともっとたくさんの葉っぱ同士で見比べられるので、葉っぱの多様性をより感じられるのです。
葉っぱの違いを言語化してくれる
また、カテゴリ―わけが、子どもの葉っぱに対する言語化に繋がっているのも素敵なところ。
この絵本には写真とともに、長い、太い、ギザギザ、マンマル、しわしわ、ほそほそ・・・などなど、その葉っぱの性質を言い表した言葉がたくさん出てきます。
これにより、子どもが葉っぱを見た時に、どんな風に表現すればいいかが自然と身に着くのです。
さらに、言語化できると、より葉っぱの性質や違いの目が向くようになります。
それが新たな発見に繋がり、もっと葉っぱや自然がおもしろくなっていくのです。
子どもにわかりやすい言葉で、性質を言語化してくれているからこそ、そういう葉っぱを見つけた時に、自分でも言いたくなり、人にも伝えたくなります。
そんな、表現し、伝える方法まで描かれているのも、とても素敵なところです。
ふんわりとした命の循環
さて、たくさんの葉っぱを紹介してくれるこの絵本。
その最後では、葉っぱの命の循環についても触れられます。
ただ、そんなに重いものではなく、「地面に落ちて、新しい芽が出てくるんだ」くらいの、カジュアルな感じです。
そのカジュアル感が、この絵本にちょうどいいなと思うのです。
葉っぱや自然に興味を持ち始めた子が、なんとなく命の循環を感じる。
それは特段、立ち止まって考えたりすることではなく、さらっと読み流していくものでしょう。
ただ、心の片隅にはきっと残り、やがて命の循環について考える時に、とても大切な心の栄養になっているものだと思います。
だからこそ、この絵本の中で、ふんわりと、さらりと命の循環について描かれていることは、とても価値があることだと思うのです。
葉っぱのおもしろさを紹介する中で、葉っぱの自然の中での働きに触れられているのも、この絵本の素敵なところです。
二言まとめ
葉っぱの多種多様なおもしろさを、写真で見比べ楽しむことができる。
読めば葉っぱを探しに行き、その性質を調べて誰かに伝えたくなる絵本です。
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