ふしぎなでまえ(4歳~)

絵本

作:かがくいひろし 出版:講談社

手間のかからないらくちんな出前。

・・・のはずが、届いたのは空のお皿たち。

なぜか、お皿たちに料理を作るあべこべな状況になってしまいます。

あらすじ

ジャガイモのじゃがさんと、サツマイモのさつまさんは、ものぐさで有名でした。

ある日、料理を作りたくない2人は、出前を頼むことにしました。

すぐに電話をして、ラーメンとカレーライスを頼むじゃがさん。

さらに、寿司と天丼も頼みます。

すると、チャイムが鳴って、早速出前が届いたみたいです。

しかし、やってきたのは、空のカレーライスのお皿と、ラーメンのどんぶり。

お皿たちは、ごちそうしてもらえると思ってやってきたのです。

仕方なく、料理を始めるじゃがさんとさつまさん。

適当に作って、お皿たちに出しました。

ですが、料理を食べたお皿たちにまずいと言われ、作り直すことに。

まずいと言われ、悔しさに火のついたじゃがさんとさつまさんは、本気で料理を作り始めます。

出来た料理はとても美味しくて、お皿たちも大満足。

さて、お腹いっぱいになったお皿たち。

今度は自分たちの番だと、なにやら呪文を唱え始めます。

すると、お皿とどんぶりから光が飛び出してきて・・・。

『ふしぎなでまえ』の素敵なところ

  • 立場が逆転するおもしろさ
  • やればできるじゃがさんとさつまさん
  • めでたしめでたしにならない天丼オチ

立場が逆転するおもしろさ

この絵本のおもしろいところは、出前がごちそうしてもらうという、立場が逆転してしまうところでしょう。

料理をするのが面倒だから出前を頼んだのに、作って振舞うという、より面倒なことになってしまう。

この「こんなはずじゃなかったのに」という、あべこべな展開がとてもおもしろいのです。

子どもたちも、

「空っぽじゃん!」

「うちに来た時は、中身あったよ」

「こっちが作ってあげるのー!?」

と、出前の常識を覆す展開に、自分の家に来た出前と比べたりしていました。

やればできるじゃがさんとさつまさん

もちろん、そんな展開に乗り気じゃない、じゃがさんとさつまさん。

イヤイヤ料理を作って振舞います。

ですが、まずいと言われては黙っていられない2人。

ついにものぐさな2人も本気を出します。

その料理をする姿は、まさに炎の料理人。

一回目とはオーラが違います。

このギャップと、やればできるところも、この絵本の素敵なところ。

ただ、ものぐさなだけじゃない、じゃがさんとさつまさんの魅力を伝えてくれます。

本気を出せば、美味しい料理が作れるのです。

そして、料理を褒められて嬉しそうにしているのも、地味にかわいいポイントです。

読み進めるほど、この2人のことが好きになっていくのです。

めでたしめでたしにならない天丼オチ

さて、そんな2人の頑張りに、今度はお皿たちが応える番です。

呪文を唱えると、光始めるお皿たち。

とても素敵なサプライズが待っています。

じゃがさんとさつまさんのものぐさも治り、お皿たちもお腹いっぱい。

じゃがさんとさつまさんにも嬉しいサプライズ。

こうして、めでたしめでたしで終わるかと思いきや、最後の最後で大きなオチが待っていました。

みんな忘れているであろう伏線を華麗に回収してきます。

みんな「あ!そういえば!」と思い出して終わります。

この最後の最後にみんなで「あ!」と呆気に取られて終わる感じも、この絵本のとてもおもしろくて素敵なところ。

終わった後の、続きを自然と想像してしまいます。

「もう一回やるのかな?」

「でも、お腹いっぱいなんじゃない?」

と、後日談をあれこれと想像して話せるのも楽しいところです。

二言まとめ

出前を頼んだのに料理を作る羽目になるという、立場の逆転がシンプルにおもしろい。

いい話かと思いきや、最後の最後まで笑いを忘れない絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました