ルッキオとフリフリ おおきなスイカ(4歳~)

絵本

作:庄野ナホコ 出版:講談社

魚が食べたいのに、スイカを手に入れてしまったネコたち。

このスイカを元手に、魚を手に入れようと頑張ります。

果たして、スイカは魚に変わるのでしょうか?

あらすじ

黒猫ルッキオと白猫フリフリは、ボロボロの家に2人で暮らしていました。

2人の夢は、お屋敷に就職し、マグロの刺身食べること。

でも貧乏で、食べるものもほとんどなく、ネズミが取れたら大ごちそうというのが現実でした。

ある朝のこと。

フリフリが庭の陰に大きなスイカがなっているのを見つけました。

2人は、このスイカを浜で売り、マグロを買うことに決めました。

早速、海辺に行き品物をきれいに並べ、客を待ちます。

すると、男の子やご婦人、おじいさんと、次々とお客さんが来たのですが、みんな「大きすぎる」と買ってはくれませんでした。

そうこうしているうち、熟したスイカにヒビが。

これでは売り物にならないので、2人は仕方なくスイカを持って家に帰ることに。

2人が坂道を登っていたその時です。

なんと、スイカが手押し車から落ち、坂道を転がっていってしまいました。

そのまま坂道を転がっていったスイカは、崖を飛び出し海の上へ。

それを見つめるルッキオとフリフリ。

2人は一体どうするのでしょうか?

『ルッキオとフリフリ おおきなスイカ』の素敵なところ

  • どうしても魚を食べたい2人の頑張り
  • 貧乏ゆえの哀愁とガッツ
  • まさかなスイカの使い道

どうしても魚を食べたい2人の頑張り

この絵本のおもしろいところは、スイカをそのまま食べるのではなく、なんとか魚に繋げようとする2人の頑張りでしょう。

大きなスイカを見た瞬間に、「売ってマグロを買う」という発想には中々なりません。

ネコなこともあり、どうしても魚が食べたいという気持ちが痛いほどに伝わってきます。

売るのも、ただ置いておくのではなく、綺麗なシートに他の野菜も並べ、スイカをより大きく美味しそうに見せる努力。

2人の本気度を感じます。

さらには、お客さんに合わせての営業トーク。

男の子には「スイカ割りにいいですよ」。

ご婦人には「海水浴の後の冷やしたスイカは美味しいですよ」。

と、言葉巧みに売り込みます。

こんな風に、絵本のそこかしこから、「どうしても魚が食べたい!」という、2人の心の叫びが伝わってくるのです。

だからこそ、応援したくなるのでしょう。

2人にお腹いっぱい魚を食べてもらいたいと。

貧乏ゆえの哀愁とガッツ

同時に、応援したくなる理由がもう一つあります。

それが2人の貧乏生活。

ご飯もろくに食べられず、食べられてもネズミや傷んだ食べ物です。

このスイカを見つけた時だって、しばらくご飯を食べていません。

そんなはらぺこ状態なのに、スイカをすぐ食べず魚に変えようとしたのです。

その執着心たるや・・・。

でも、スイカは売れず、2人の晩ごはんになることが決まります。

そうなると、今度は転がっていくスイカを見る目線が変わります。

スイカがなくなってしまったら、魚どころか晩ごはんすら食べられなくなってしまうのです。

必死に追いかける2人。

「ああ、晩ごはんが・・・」という悲痛な一言。

貧乏ゆえの、魚への夢と、晩ごはんの喪失感。

それらが合わさり、より2人のことを応援したくなるのです。

まさかなスイカの使い道

さて、海へと飛び出して行ったスイカ。

けれど、2人は諦めません。

その結果、まさかの展開が起こります。

スイカのまさかな使い道が発見されるのです。

これには2人も、見ている子どもたちもびっくり。

魚とスイカへの執念が、まるでピタゴラスイッチのような結果を生み出しました。

なんだかルッキオとフリフリらしい、この結末もこの絵本らしい素敵なところだと思います。

二言まとめ

2人のネコが、全力でスイカを魚に変えようと頑張る姿がおもしろい。

その一生懸命さと貧乏さに、2人のことを好きになり心から応援したくなる絵本です。

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