フランクリンとルナ、月へいく(4歳~)

絵本

文:ジェン・キャンベル 絵:ケイティ・ハーネット 訳:横山和江 出版:BL出版

本好きのドラゴン、フランクリンシリーズの第二巻。

フランクリンの故郷と家族を探すお話です。

世界中を探し回った末、たどり着いたところは・・・。

あらすじ

ルナは本が大好きな女の子。

アームストロングと言う名前のカメを飼っています。

ルナの一番の友だちは、本が大好きなドラゴンのフランクリン。

体はとても大きくて、色は緑色。

他の友だちとはだいぶ違います。

ルナとフランクリンの2人は、冒険家になり、本で読んだ場所をたずねてみたいと夢見ていました。

だって本には、人魚やハーピー、妖精やゴーストなど、不思議な生き物がたくさん出てくるのですから。

そんな中、「フランクリンはどこから来たのか?」と言う話になりました。

でも、フランクリンも覚えていないと言います。

605年の人生の中で、探したこともあったけれど、仲間にも会っていないと。

そこで、ルナは世界中を探検して家族を探そうと持ちかけました。

2人は世界中の色々なところを周り、色々な生き物に話を聞いて回りました。

雪男、吸血鬼、巨人、幽霊、エルフ、ニンフ・・・。

けれど、誰ものドラゴンのことは知りませんでした。

ですが、2人が途方に暮れていたその時、カメのアームストロングがコホンと咳払いをして、空を見上げたました。

ルナはそれを見て、天体望遠鏡をのぞき込みます。

すると、遥か彼方でなにかが動いたのです。

早速ルナはフランクリンの背中に乗り飛びたちました。

フランクリンは雲を突き抜けぐんぐんと上昇し、ついに宇宙へ。

けれど、どこに行っていいのかわかりません。

暗くて寒い宇宙。

地球に帰った方がいいのかと思い始めた時、フランクリンがこの場所を思い出したのです。

143歳の時に飛んでいた記憶でした。

記憶を頼りに辿り着いたのは月でした。

しかし、誰もいず、読んでも何の返事もありません。

それでも諦めず、月の上を進んでいくと砂の上に足跡を見つけました。

懐かしい歌も聞こえてきます。

フランクリンはここが故郷だと、すっかり思い出しました。

ルナとフランクリンとアームストロングの3人が、歌声のする方へ歩いていくと・・・。

『フランクリンとルナ、月へいく』の素敵なところ

  • 不思議が当たり前にある世界
  • 静かで暗く美しい宇宙
  • 第1巻と反対の展開

不思議が当たり前にある世界

この絵本の素敵なところは、世界が不思議に満ちていて、それが当たり前に存在していることです。

物語を読んで憧れている、UMAやモンスターという不思議な存在。

現実の世界では幻やおとぎ話です。

てっきり、この絵本の世界でもそうだと思いきや、フランクリンの家族を探しに旅出ると、普通に会えてしまいます。

しかも、かなり人間みたいなことをして、暮らしているからおもしろい。

雪男はスパゲッティをごちそうしてくれるし、

エルフはバレーボールをしているし、

幽霊はおしゃれ好きで着飾っています。

外国の現地の人に会いに行く感覚で、物語に出てくる不思議な生き物に会えてしまうのです。

この世界観がとても素敵で、物語が好きな子ほど夢中になってしまいます。

物語をあまり読まない子も、この不思議で素敵な世界のとりこになってしまいます。

そもそもドラゴンがいるので、他の生き物がいることも当たり前なのかもしれませんが・・・。

また、フランクリンの背中に乗れば、どこにでも行けてしまうのも魅力的でロマンあふれるところです。

空飛ぶドラゴンのフランクリン。

その背中に乗れば、すぐに世界一周もできてしまいます。

それこそ宇宙にだってひとっ飛び。

ドラゴンの背中に乗り、自由にどこにでも行ける。

こんなにロマンと夢と不思議が詰った世界が、魅力的でない訳がないのです。

静かで暗く美しい宇宙

こうして、宇宙へと飛び出したフランクリンたち。

この宇宙の神秘的な光景も、また素敵なところです。

真っ暗な宇宙に浮かぶ、惑星やほうき星。

そこは美しいと同時に、とても暗く、寒く、静かです。

綺麗さと不気味さ、恐ろしさを同時に感じさせてくれるのです。

それは月の上でも同じです。

常に環境音が聞こえてくる地球とは異質の、物音ひとつしない静けさが絵本の中から伝わってきます。

シーンとした中、自分の息遣いだけが聞こえる感覚。

そんなもの寂しさのような、静けさのようなものが、ひしひしと伝わってくるのです。

それが、宇宙や月と言う、非日常的でとても遠いところに来ていることを嫌でも感じさせてくれます。

けれど、そんな環境だからこその、地球では味わえない美しさや幻想的な光景も味わえます。

この美しさと不気味さの両面を描いているからこそ、宇宙と言う非日常を冒険している感覚を味あわせてくれるのだと思います。

この絵本の描く、美しく、恐ろしく、静かな宇宙の旅もまた、とても魅力的なところです。

第1巻と反対の展開

さて、そんなフランクリンたちの冒険ですが、ついにフランクリンの仲間と出会うことになります。

そこでのやり取りが、まさに前作第1巻と正反対になっているのがおもしろいところです。

前作では、人間に恐れられ、中々仲良くなれなかったフランクリン。

見るだけで、悲鳴をあげ逃げられていました。

今作とそれとは全く逆で、ドラゴンの住む月に、人間のルナがやってきます。

フランクリン同様に、大きな体で飛び回るドラゴンたち。

そのドラゴンたちがルナを見た時の反応や、その後の流れはまさに前作と正反対。

思わず笑ってしまいます。

子どもたも、

「えー!?なんで!?」

「ドラゴンの方が大きいのに!」

と、驚いたり笑ったり。

でも、そのやり取りからは、ドラゴンたちがフランクリン同様、心優しく、大人しいことが伝わってきます。

きっと、子どもたちもドラゴンに親近感が湧いていることでしょう。

このルナとドラゴンたちの出会い方もまた、この絵本の素敵なところです。

二言まとめ

フランクリンとルナと一緒に、世界や宇宙を旅して、たくさんの不思議と出会える。

フランクリンとルナのことをもっとよく知ることができ、もっと大好きになる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました