作:藤本ともひこ 出版:ニコモ
次々とバス停にバスがやってきます。
でも、どのバスもちょっと不思議。
普通のバスじゃないみたい。
あらすじ
あるところにバス停がありました。
金魚、オバケ、サル、パンダがバスを待っています。
すると、早速1台目のバスがやってきました。
けれど、少し不思議なバス。
バスの中は水でいっぱい。
魚が泳いでいるし、運転手はタコでした。
それはなんとおさかなバス。
行き先は水族館です。
バス停に着くと、金魚が飛び乗り、おさかなバスは行ってしまいました。
また、しばらくすると、2台目のバスがやってきました。
今度は動物がたくさんの乗り、運転手はゴリラです。
バス停に着いたのは、木の茂ったジャングルバス。
行き先は動物園です。
このバスにはサルくんが乗りました。
ジャングルバスが行き、しばらくすると、3台目のバスがやってきました。
今度のバスは三角で、運転手は梅干しです。
到着したのはとても小さなおにぎりバス。
でも、小さすぎて誰も乗れませんでした。
しばらくすると、今度はかっこいいバスが。
忍者が現れ、手裏剣を投げてくるバスです。
その名もにんじゃバス。
にんじゃバスが到着すると、なんとバス停から二匹のネズミ忍者が現れました。
どうやらバスが来るまで隠れていたみたい。
にんじゃバスは2匹のネズミ忍者を乗せて、お城へと出発していきました。
さてさて、次にやってきたのは・・・?
『バスがきたよ』の素敵なところ
- とっても不思議で楽しいバス
- 予想を裏切るワクワクの展開
- パンダが待っていた夢の詰まったすごいバス
とっても不思議で楽しいバス
この絵本のなんといっても素敵なところは、次々に来る不思議で楽しいバスたちでしょう。
水で出来ているようなおさかなバス。
木が生い茂るジャングルバス。
タイヤがついているのに転がってくるおにぎりバス。
忍者屋敷にタイヤをつけたようなにんじゃバス。
などなど、どれもバスの常識をくつがえしてきます。
しかも、到着して全体像が見える前に、窓から覗いたようなアングルのページがあるため、さらにワクワク感がアップ。
「なんのバスなんだろう?」
と予想がはかどります。
バス停で待っている生き物と関連させて考えたり、バスの名前を当てようとしたり。
さらに、バスが到着し全体像が見えるとさらに大盛り上がり。
「入り口開けて、水こぼれないのかな?」
「木登りできるじゃん!」
「武器がいっぱいおいてある!」
と、不思議なバスの魅力に釘付けです。
どのバスも個性豊かで、子どもの心をワクワクさせてくれるのです。
予想を裏切るワクワクの展開
ですが、この絵本のおもしろいところは、次々に不思議なバスがくるところだけではありません。
上手に予想を裏切ってくれるのも、とてもワクワクさせてくれるポイントです。
バス停には一列に並んで生き物たちが待っています。
金魚、サル、オバケ・・・という順番に。
そして、来るバスもおさかなバス、ジャングルバス・・・。
と、並んでいる順番に乗っていきます。
子どもたちも当然、その順番で次に来るバスの予想をします。
ですが、予想通りにならないのがこの絵本。
サルの次はオバケかと思いきや、誰も乗れない小さなおにぎりバスがやってくるのです。
予想外のバスに、子どもたちも驚きつつ大混乱。
「ちっちゃ!」
「誰が乗るんだろう?」
と楽しい反応を見せてくれていました。
さらに、次こそはオバケだろうと思っていたら、またもや違うにんじゃバス。
しかも、また乗る人がいないと思いきや、今度はお客さんまで隠れていたという、ダブルで予想外の展開に。
もう、子どもたちも驚きが止まりません。
「えー!?」
「そんなところにいたの!?」
と、さらなる盛り上がりを見せてきます。
この驚きとワクワクの空気感がものすごく気持ちいい。
この巧みなミスリードと、予想外の盛り上がげ方も、この絵本のとても楽しいところです。
パンダが待っていた夢の詰まったすごいバス
さて、そんな楽しいバスがやってくるバス停も、待っているのはパンダひとりとなりました。
ジャングルバスに乗るのも断っていたパンダは、あるバスを待っています。
この待っているバスが、子どもの夢が詰ったようなバスになっているのも、この絵本の素敵なところです。
全体像が見える前から、すぐになんのバスか気付きます。
そして、全体像を見たとたん、
「いいなー!」
「このバスがいい!」
の嵐が吹き荒れるのです。
バスになっていなくても夢が詰っているのに、それがバスになってしまっては「いいなー!」と言わずにはいられないでしょう。
まさに、最後のバスにふさわしいバスになっているのです。
二言まとめ
次々にバス停にやってくる、不思議で楽しいバスたちがおもしろすぎる。
予想外だったり、夢が詰った展開に、最初から最後までワクワクさせられるバス絵本です。
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