作・絵:間瀬なおかた 出版ひさかたチャイルド
車、電車、飛行機、船・・・。
出てくるたくさんの乗りものたちは、みんな同じ方へ向かって走って行きます。
目的地は一体どこ?
あらすじ
男の子は、お父さん、お母さん、妹と、車に乗ってお出かけです。
道には車やオートバイがいっぱい。
みんなどこに行くのでしょう?
しばらく行くと橋があり、渡っていると船やヨットが見えました。
みんな男の子たちと同じ方向に行くみたいです。
さらに行くと大型バスが追い越していきました。
バスには子どもたちがいっぱいです。
山を登り谷川の橋を渡ると一休み。
車を止めて、お弁当の時間です。
近くの線路を電車や新幹線が走って行きます。
やっぱりみんな、男の子たちと同じ方に行くみたい。
休憩を終え、走り出すと一緒に飛行機や飛行船も飛んできました。
そして、男の子たちの車はトンネルの中へ。
トンネルの出口には、いよいよ目的地が見えています。
一体みんなどこいくの?
『のりものいっぱい!どこにいくの?』の素敵なところ
- 集まってくるあらゆる乗り物
- 走っているのが味わえる楽しい仕掛け
- 最後に出てくる大迫力で特別な乗り物
集まってくるあらゆる乗り物
この絵本のなにより楽しいところは、メジャーで人気の乗り物が、大集合するところでしょう。
車、バス、船、電車、飛行機・・・。
陸海空のすべての乗り物が集まってきます。
これだけで、子どもたちは大喜び。
文章を読む前から、
「新幹線だ!」
「大きい船!ディズニーランドで乗った!」
などなど、ページをめくっただけで盛り上がってしまいます。
さらに、よく見ると消防車やパトカーなど特殊車両もいたりと、探しがいがあるのも楽しいところ。
文章が短い分、ページの中にたくさんの発見があるのです。
また、乗り物がただ出てくるのではなく、みんな同じ方向に進んでいくのもおもしろいところです。
車も電車も飛行機も向かう場所・・・。
気にならないはずがありません。
最初は乗り物登場にシンプルに喜んでいた子も、
「どこに行くんだろう?」
とワクワク感が高まっていきます。
こうして、目的地に着いた時の、すべての乗り物がページいっぱいに集まっている様はまさに圧巻。
乗り物好きの夢が詰った1ページになっているのです。
走っているのが味わえる楽しい仕掛け
そんなたくさんの乗り物の中心にいるのは、男の子たち家族の赤いオープンカー。
この車の、家から目的地までの長い道のりを描きます。
その描き方も、この絵本のとても素敵なところです。
この絵本のページにはある仕掛けがしてあります。
それがページの上の角を雲の形に切り、遠くの空が見えるようになっている仕掛けです。
これにより、ページをめくっても、まったく新しいページになるのではなく、前のページと同じ空が見え続けます。
そして、ページをめくるごとに、一番奥の空へと近づいていくのです。
さらに、めくった後のページが、走って過ぎ去った景色のようになっていて、車窓がビュンビュンと後ろへと流れていく感覚を味わえるます。
この仕掛けによって、走り続けている感じや、目的地に近づいていることが感覚的にわかり、本当に車で走っている気分になるのです。
ただ、仕掛けはこれだけでは終わりません。
クライマックスが近づくにつれ、新たな仕掛けで盛り上げてきます。
それが、トンネルや最後の場面。
目的地のワクワク感をさらに高めてくれるのです。
最後に出てくる大迫力で特別な乗り物
さて、そんな長い旅の目的地。
これがものすごく特別感のあるものなのも、この絵本の素敵なところです。
しかも、とても現実的で、かつ乗り物というテーマを外さないのがすごい。
さらに、この瞬間にしか見れない限定的なもの。
そりゃみんな集まるなと思わせてくれます。
これまで、乗り物が出てくるたびに盛り上がっていた子どもも、これが出てきたら盛り上がらないわけにはいきません。
まさに、たくさんの乗り物が勢ぞろいした後の、最後の乗り物にふさわしいものとなっているのです。
しかし、そこで終わりではありません。
大きな見せ場をまだ残しています。
見て終わりではなく、その乗り物の動きまで見せてくれます。
これには盛り上がりも最高潮。
乗り物欲を大満足させて終わります。
二言まとめ
人気のあるたくさんの乗り物と一緒に走る、楽しさと爽快感が味わえる。
その目的地にある特別な乗り物に、さらにテンションが上がってしまう乗り物絵本です。
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