作:ふくだじゅんこ 出版:ほるぷ出版
繊細で割れやすい卵。
取り扱いの難しい卵。
そんな卵たちがアクロバティックなサーカスを始めたら一体どうなるのでしょう。
拍手喝采か!
はたまた地獄絵図か・・・
あらすじ
男の子はお母さんに卵を取ってくれと頼まれました。
しかし、昼間、広場で見たピエロの真似をして卵を割ってしまいました。
お母さんに叱られてベッドに入った男の子。
本物のサーカスを見に行きたいなと思いながら眠りにつきました。
夜中に誰かに起こされました。
それはなんとサーカス団の卵たちでした。
招待状をもらい、家の屋根裏へ。
そこでは卵たちのサーカスが開催されていました。
卵団長の言葉を皮切りにサーカスが始まります。
歌や出し物が続き、いよいよ最後の空中ブランコ。
別のブランコに飛び移ろうとしたその時!
つるりと滑ってしまったのです。
男の子がとっさに手を伸ばし、なんとかキャッチしブランコ乗りは手の中へ。
それを見てみんな心配しています。
ブランコ乗りの子どもたちも泣いています。
男の子がそーっと手を開くと・・・。
『たまごサーカス』の素敵なところ
- 味と癖のある絵
- 渾身の卵ギャグ
- 脆いながらも頑張る卵たちの姿に卵を大切にしようと思う
初見では不気味とも思える独特の絵。
例えるならば、不思議の国のアリスのよう。
最初はとっつきにくいですが、読めば読むほど癖になる。
個性豊かな卵たちに、その豊かな表情。
見ているだけでも楽しくなってくるから不思議です。
癖が強いのは絵だけではありません。
お話のノリもかなり癖が強いです。
サーカス団の歌では割れやすい中、前を向く姿が歌われます。
ピエロがジャグリングするのは小さな卵たち。
卵ならではの緊張感がすごいです・・・。
その中でも飛び切りシュールかつ癖が強いのが、最後のオチ。
卵の特性を活かした渾身のオチはぜひ見て欲しいところです。
全体を通して、割れやすく、壊れやすい卵たちの前向きで、ひたむきな姿が描かれるこの絵本を読んでいると、日頃食べている卵にもなんだか愛着が湧いてきます。
読み終わった後、卵を持つときに心なしか持ち方が優しくなっている。
そんな絵本です。
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