まほうのさんぽみち(4歳~)

絵本

作:ロビン・ショー 訳:せなあいこ 出版:評論社

いつもと同じ散歩道。

でも、想像力の翼を広げると、魔法の散歩道に早変わり。

ワニに、恐竜、眠り姫、色んなものはが見えてきます。

あらすじ

女の子は、パパと2人で散歩に出かけました。

行き先は、一番のお楽しみの場所。

それは散歩道の最後にあります。

歩いていると、大きな水たまりを見つけた女の子。

水たまりには気をつけなくちゃいけません。

だって・・・ワニがいるかもしれないから。

と思っていると、パパがワニに食べられないよう抱っこしてくれました。

歩いていくと列車が通る大きな橋の下に着きました。

すごい音をさせて列車が走ります。

その音はまるで恐竜の足音みたい。

さらに進むと、ボロボロのお城みたいなお屋敷が見えてきました。

そこにはきっと眠り姫がいるのです。

そして、王子様が来るのを待っているはず。

王子様が魔法を解くのを見たいけれど、お楽しみのために女の子は進まなければなりません。

王子様に手を振り、先を急ぐと、今度はお花屋さんの前を通ります。

店内は草木に溢れ、外から見るとジャングルみたい。

ちょっとだけのぞくと、トラやサルの気配を感じます。

でも、ちょっとだけにしておきます。

だって、お楽しみが待っているから。

花屋さんのとなりは熱帯魚のお店。

そこにはどんな不思議がまっているのでしょう?

魔法の散歩道の先にあるお楽しみとは・・・?

『まほうのさんぽみち』の素敵なところ

  • 想像力という魔法
  • パパの素敵な対応力
  • 散歩道の先に待つ、魔法のように素敵な場所

想像力という魔法

この絵本のおもしろいところは、いつもの散歩道が、想像力を膨らませることで、魔法の散歩道に変わってしまうところです。

水たまりにはワニがいるかもしれないし、

列車の音は恐竜の足音かもしれないし、

ボロボロの屋敷には眠り姫が住んでいるかもしれません。

そんな、普段の散歩で子どもたちが想像や妄想することは、この絵本は形にしてくれているのです。

水たまりから顔を出すワニ。

橋の上を歩く恐竜の群れ。

王子様と白馬に乗る眠り姫・・・。

本当に街の中に現れます。

「かもしれない」「こうだったら楽しいな」を実現してくれるのです。

だからこそワクワクするのでしょう。

さらに、絵本にワクワクするのと同時に、自分の散歩道も思い出されます。

「朝、水たまりあった!」

「このお花屋さん、うちの近くのお花屋さんに似てる」

すると、そこにもワニやトラがいる気がしてくるからおもしろい。

絵本の散歩道とリンクして、自分の散歩道も魔法の散歩道になってしまうのです。

パパの素敵な対応力

そんな夢と楽しさが詰った散歩道。

女の子の足がすぐに止まってしまうのは当然です。

ですが、目的地へと進んでいかなければなりません。

そこで出てくるのがパパ。

このパパの対応力も、この絵本のとても素敵なところです。

時には抱っこして、時には女の子の世界観に合わせ、先へ先へと誘導していくパパの柔軟性がすごい。

特に、水槽の中に旅立った女の子に、

「さあさあ、人魚姫。先に進もうよ」

宇宙に飛び立った女の子に、

「任務終了。地上に戻れ。先を急ぐぞ。」

と想像の世界を壊さずに、歩みを進める姿には、ぼくも見習わなければと思わされました。

魔法を解かず、でも目的地へとうまく誘導していく。

そんなパパの姿と言葉がとても素敵です。

散歩道の先に待つ、魔法のように素敵な場所

そうこうして、たどり着いた目的地。

ここがなんとも、魔法の散歩道の終着点にふさわしい、素敵なところでした。

まさに想像力の源泉で、ここによく来ているからこそ、魔法の散歩道が生まれたのだろうなと思えます。

その店内も、また素敵。

魔法の散歩道で出会った生き物たちが大集合しています。

これには子どもたちも、

「これ恐竜のしっぽじゃない!?」

「ワニが顔出してるよ!」

「トラが入ってこようとしてる!」

と大喜び。

まるで昔からよく知っているキャラクターに再開したような喜びよう。

すっかり魔法の世界に浸っているようでした。

最後まで想像力が刺激される、この目的地も魔法の散歩道にぴったりの、とても素敵なところです。

二言まとめ

普段の散歩で想像する「こうかもしれない」「そうだったらいいな」を、目に見える形にしてくれる。

自分の散歩道も、魔法の散歩道に変えてくれる絵本です。

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