作・絵:みやにしたつや 出版:金の星社
毎日の中にたくさんある、お母さんへのごめんなさい。
イタズラ心から、悪気はないけど。
理由は色々。
そんな子どもと、お母さんのごめんなさいが詰った絵本です。
あらすじ
お母さんが一生懸命作ったご飯。
「美味しくない」って言ってごめんなさい。
お母さんがいつも掃除してくれているのに、
泥だらけの足で走り回ってごめんなさい。
お母さんはぼくがトイレから出てこないのを心配してくれたのに、
トイレットペーパーをぐちゃぐちゃにして遊んでいてごめんなさい。
お母さんのお気に入りのバッグをかわいくしてあげようとして、
絵を描いちゃってごめんなさい。
お母さんにいいもの見せてあげると言って、
お母さんの靴をダンゴムシのおうちにしちゃってごめんなさい。
まだまだたくさん出てくるごめんなさい。
でも、お母さんも言いたいことがあるみたい・・・。
『おかあさんごめんなさい』の素敵なところ
- きっと心当たりがあるごめんなさい
- 子どもの行動と心のジレンマ
- 互いのごめんなさいが伝わる結末
きっと心当たりがあるごめんなさい
この絵本には、たくさんのごめんなさいが出てきます。
きっとその中には、心当たりがあるものもあるはず。
泥だらけで家に入ってきたりや、トイレットペーパーで遊んだりは特にあるのではないでしょうか。
絵本に出てくるエピソードそのままではなくても、似たようなごめんなさいが思い浮かんだり、自分が困らせた時のことが思い浮かんだりするでしょう。
そんな風に、絵本の男の子を通して、自分やお母さんのことを客観的に見られるのが、この絵本のとても素敵なところです。
実際の場面では、ごめんなさいを素直に言えないことも多いでしょう。
ごめんなさいの気持ちがあっても、言う機会なく過ぎてしまうことも。
そういう気持ちを、この絵本は汲み取って代弁してくれます。
絵本を見たからと言って、素直に謝れるようになったりするわけではありません。
けれど、過去の自分を思い出し、振り返る機会になってくれるのです。
その積み重ねが、素直なごめんなさいに繋がるのだと思います。
子どもの行動と心のジレンマ
また、子どもならではの、やらずにはいられない気持ちがよく伝わるのも、この絵本の素敵なところです。
やったらお母さんが困ることがわかっているけれどやってしまうこと。
お母さんを喜ばせようと思って、困らせてしまうこと。
そんな、子どもならではの心と行動のジレンマが、リアルに描かれているのです。
これは子どもにとって、自分の行動の振り返りになるだけではなく、お母さんやお父さん、先生など、一緒に見る大人にとっても振り返る機会になります。
つい行動を見て叱ってしまったけれど、よかれと思ってやっていたことに気付かされたり、
ごめんなさいの気持ちはあるけれど止められない、子どもならではの特性に気付かされるのです。
男の子の姿を通して、大人も子どもの行動をより深く振り返り、叱った自分を客観的にみる機会になってくれるのも、この絵本のとても素敵なところです。
互いのごめんなさいが伝わる結末
さて、お母さんへのごめんなさいが描かれたこの絵本。
実はごめんなさいを言うのは子どもだけではありません。
お母さんにもごめんなさいがあるのです。
子どもも大人も、普段は思っているけど、中々面と向かって言うのが難しいごめんなさい。
それをこの絵本は互いに伝えてくれます。
そんな、普段は伝えにくい「ごめんなさい」を、絵本という第3者を通して素直に伝えあえるのが、この絵本のとても素敵なところです。
もしかしたら、絵本を読んだ後に、ごめんなさいの気持ちが素直に言えることもあるかもしれませんね。
二言まとめ
思っているけれど中々言えないごめんなさい。
その気持ちを、絵本の中で素直に伝えることができる物語です。
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