わるいことがしたい!(4歳~)

絵本

作:沢木耕太郎 絵:ミスミヨシコ 出版:講談社

誰もが心に秘めているいたずら心。

でも、普段は鍵をかけています。

その鍵を開け、思いきり解放できる絵本です。

あらすじ

ある家に一人の男の子がいました。

この男の子は、悪いことがしたくてたまりません。

そのことを家の人に言うと、悪いことってどんなことか聞かれます。

男の子はトイレットペーパーを転がしたり投げたりと、部屋をトイレットペーパーだらけにして見せました。

おもしろかったか聞かれると、男の子はもっと悪いことがしたいと言います。

どんなことか聞かれると・・・。

おもちゃを部屋中散らかして、そのおもちゃを壊して見せました。

おもしろかったか聞かれると、男の子はもっともっと悪いことがしたいと言いました。

どんなことか聞かれると・・・。

スパゲッティを手で掴み、あちこちに飛ばしながら食べて見せました。

おもしろかったか聞かれると、男の子はもっともっともっと悪いことがしたいと言います。

男の子の悪いことは、どこまで膨らんでいくのでしょうか?

『わるいことがしたい!』の素敵なところ

  • やってみたいけど、やったら100%怒られる悪いこと
  • 好奇心のままにやってみたい気持ちを解放してくれる
  • 悪いことをした後は・・・

やってみたいけど、やったら100%怒られる悪いこと

この絵本のおもしろいところは、やれば怒られることを思いっきりしてくれるところです。

部屋中にトイレットペーパーを投げたり、転がしたり、巻きつけたり。

いつもは「大切にね」と言われるおもちゃを、思いっきり壊したり・・・。

年齢が大きくなるほど、自制がきいて出来なくなってくることを、この絵本では気兼ねなくやってみせてくれるのです。

これがなんとも気分爽快。

中途半端ではなく、これでもかとやってみせてくれます。

特に見開き1ページを使っての、部屋がぐちゃぐちゃになったり、スパゲッティが飛び散る様は圧巻。

その動きのダイナミックさと、やってやった感、やっちまった感がほとばしっているのです。

こんな風に、見るだけでその悪さが伝わってくるのが、この絵本のおもしろいところです。

でも、こんなに悪いことなのに、子どもたちからは「ダメだよ!」と言う声の中に「やってみたいな~」という声が。

いつもイタズラをしていたり、けんかをしがちな子は素直に惹かれるみたいです。

好奇心のままにやってみたい気持ちを解放してくれる

ただ、「いい子」にしている子も表情は嬉しそうなので、心の中では「やってみたい」「やったら楽しそう」という気持ちが感じられます。

きっと子どもならではの好奇心がそうさせるのでしょう。

乳児の頃には、おもちゃが壊れることなど気にせず投げたり、叩いたりしていたはず。

食べ物をこぼすのも気になんてしなかったはず・・・。

けれど、大きくなる中で、段々とそれはなくなっていきます。

ただ、心の中には好奇心という形で残っているのでしょう。

特に最近は、早い段階でその好奇心は、マナーや常識という形で抑えられがちでもあったりします。

そんな心に秘めた好奇心を、思いきり、誰にも迷惑をかけず解放できるのも、この絵本のとても素敵で大切なところだと思います。

悪いことをした後は・・・

さて、どんどん「もっともっと」と悪いことをしていくこの絵本。

ですが、悪いことをしたままでは終わらないことも、とても素敵なところです。

好奇心のままにやってしまう乳児の時と、物心ついてから悪いことをしようと思ってやる行動には、やはり違いがあります。

部屋がぐちゃぐちゃになって困ること、ものが壊れて困ること。

それがわかった上で悪いことをしているのです。

そこには一つの責任が生じます。

その責任を、しっかりと子ども自身に、子どもらしいやり方で取らせるのです。

同時に、悪いことも楽しいけれど、この責任を取る行動もそれはそれで楽しいことにも気付きます。

これは悪いことを思う存分やった後だからこそでしょう。

悪いことを我慢させるのではなく、思いきり発散させ、その上でしっかりと自分のしたことの責任も取らせる。

このメリハリも、この絵本のとても素敵で大好きなところです。

二言まとめ

いつもは我慢しているイタズラ心を、思いっきり発散できる。

でも、やった後にしなければいけないことも、同時に伝えてくれる絵本です。

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