がまくんとかなへびくん(4歳~)

絵本

作:島津和子 出版:福音館書店

ある夜、池で不思議な光を見つけたかなへびくん。

翌朝、さっそく友だちのがまくんを誘い、調べに行くことに。

一体、光の正体とは?島では何が起こっているのでしょう?

あらすじ

ある夏の夜、池のほとりにいたかなへびくんは、池の中に浮かぶ島から不思議な光が輝いているのを見つけました。

かなへびくんは次の日、仲良しのがまくんを訪ね、昨晩のことを話し、一緒に島へ行ってみようと誘いました。

2人は相談し、蓮の葉を船にして、島へと渡ることに。

がまくんが蓮の葉を引っ張るエンジンで、かなへびくんが蓮の葉の上からかじ取りをする役割です。

2匹は出発し、順調に島へと進んでいきました。

島に着いた頃には、もう夕方。

光は夜に現れたので、ちょうどいい時間です。

さっそく、島の中を調べて回ると、草むらから舞い上がる金の光を見つけました。

その光をじっと見ていたがまくん。

がまくんは、かなへびくんに、ホタルの光だと教えました。

けれど、どうも飛び方がいつもと違うようです。

と、その時、2人の目の前に小さなカエルが飛び出してきました。

小さなカエルは、震えながら草むらを指さします。

何かが近づいてくる音を察知したかなへびくんは、勇敢にも草むらに飛び込みました。

草むらにいたのはヘビでした。

間一髪のところで、かなへびくんは戻ってきて、がまくんの背中に飛び乗ります。

さらにかなへびくんの上に、小さなカエルも慌てて飛び乗りました。

がまくんとヘビはじっとにらみ合います。

ヘビの赤い舌がチロチロと動いています。

緊張したにらみ合いの中、ついに動いたのは・・・。

『がまくんとかなへびくん』の素敵なところ

  • 小さくて大きな大冒険
  • がまくんとかなへびくんの名コンビ
  • がまくんならではの必殺技に盛り上がる

小さくて大きな大冒険

この絵本のなによりワクワクするところは、池を舞台にした大冒険でしょう。

池に浮かぶ島に輝く謎の光。

その光を調査するべく、池を渡り上陸する様は、まさに宝物を探しに行く大冒険のようなワクワク感です。

人間から見たら、公園にあるような池ですが、かなへびくんとがまくんのサイズ感からしたら、大きな海も同然。

そこを蓮の葉をボートにして、渡る姿は探検家のようです。

この島の謎を解き明かしに行く雰囲気が、冒険映画のようでワクワクさせてくれるのです。

でも、その大冒険のような雰囲気の中に、舞台がとても身近な池ということを感じさせてくれるのも、おもしろいところ。

ボートが池によく浮かんでいる蓮の葉だったり、池の中にはタニシやメダカなど、少しきれいな池ならよくいるような馴染みの顔がたくさんあります。

なにより、主人公がかなへびという、割と身近で見つかるトカゲ。

見ていると、よく行く公園の池や茂みが頭に浮かびます。

でも、かなへびくんの目線から見ると、壮大な大冒険。

この小さな冒険と、大きな冒険の入り混じったおもしろさが、この絵本のとても素敵な魅力です。

がまくんとかなへびくんの名コンビ

また、この大冒険を語るのに、がまくんとかなへびくんの名コンビっぷりをはずすことはできません。

好奇心旺盛で、行動力があり、おしゃべりなかなへびくんと、

のんびりやさんで、物知りだけど、口数の少ないがまくん、

というデコボコなコンビが、とても噛み合っているのです。

かなへびくんがどんどん引っ張り冒険を前に進め、行き詰るとがまくんが鋭い考察をくれる。

どんなことにもすぐに飛び込むかなへびくんと、ピンチになった時にも動じない頼りになるがまくん。

といったように、2人の役割がきっちりとわかれていて、このコンビだからこそ、冒険が上手くいったのだなという気持ちにさせてくれます。

なにより、言葉の端々から仲の良さが伝わってきて、見ていて気持ちいいのです。

どんな状況にも力を合わせ、適時適所で対応していく名コンビっぷりも、この絵本のとてもおもしろいところです。

がまくんならではの必殺技に盛り上がる

さて、そんな大冒険の一番の正念場が、ヘビとのにらみ合いです。

島中のカエルを食べ尽くそうとする獰猛なヘビが現れ、かなへびくんが間一髪危険を逃れます。

そして、仲間を乗せたがまくんと、ヘビのにらみ合いが始まります。

まさにヘビに睨まれたカエル。

ですが、がまくんはそこらへんのカエルとは違いました。

意を決して必殺技を放つのです。

これがなんともガマガエルらしい、強烈な一撃。

にらみ合いの緊張感からの、この予想外の一撃に、子どもたちも大盛り上がりです。

「がまくんすごい!」

「がまくん強かったんだね!」

「すごい大きくなった!」

と、興奮冷めやらぬ様子で語り合っていました。

ここまで、かなへびくんに比べ地味な印象だったこともあり、この一撃はかなり印象的。

このがまくんによる一発逆転劇も、この絵本のとても痛快で盛り上がるところです。

二言まとめ

小さな生き物が、小さな池を舞台にした、壮大な大冒険にワクワクさせられる。

かなへびくんとがまくんの、デコボココンビネーションが、とても楽しく心地いい冒険絵本です。

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