作:角野栄子 絵:しまだともみ 出版:そうえん社
自転車を買ってもらったら、乗りたくて仕方がない!
さっそく、自転車で散歩に出かける女の子。
野原に坂道、橋にトンネル、楽しい散歩の始まりです。
あらすじ
女の子のピンクちゃん。
家に新しい2台の自転車が届きました。
赤い大きい自転車に乗るのはピンクちゃん。
緑色の小さい自転車にはイヌのボンボンが乗り、2人は散歩に出かけます。
まっすぐの道を進み、頑張って坂道を登り、気持ちよく坂道を降ります。
町を抜けると、ブタくんが自転車に乗って追いかけてきました。
一緒に行くことになり、3人で花畑を走り抜けます。
すると、4人の花たちが4人乗り自転車に乗って追いかけてきました。
一緒に行くことになり、7人で橋を渡り、池のほとりを走ります。
杉林を走り抜けていると、杉の子も自転車で追いかけてきました。
一緒に行くことになり、8人でトンネルへと入っていきます。
中は真っ暗・・・。
なにかが隠れているみたいで怖い・・・。
大急ぎでトンネルを抜けると、煙みたいなトンネル坊やが自転車に乗って追いかけてきました。
一緒に行くことになり、9人で大きな山を登ります。
目指すは山のてっぺんです。
みんな頑張って登り、ついに頂上に着くと「わしも入れてくれ」と誰かが声をかけてきました。
なんと、空に浮かんでいたお日さまです。
でも、お日さまは自転車を持っていないみたい。
それを聞いたピンクちゃんは・・・。
『じてんしゃギルリギルリ』の素敵なところ
- 自転車で走る楽しさと爽快感
- 乗り手に合わせた色々な自転車
- お日さまが自転車に乗るまさかの影響
自転車で走る楽しさと爽快感
この絵本の、なによりも楽しいところは、自転車に乗る楽しさが味わえることでしょう。
ギルリギルリという、ペダルをこぐ音に合わせて進んでいく自転車。
ローケーションも様々で、
真っ直ぐな道をスイスイ走る気持ちよさ、
登り坂で力いっぱい踏ん張る大変さ、
下り坂を駆け降りるスピード感、
など、自転車に乗っていて感じるおもしろさを、あますことなく味あわせてくれるのです。
絵のスピード感もあいまって、本当に自分も自転車をこいでいる気分になります。
自転車に乗れる子は、自転車で色んなところに行きたい気持ちに、
まだ、自転車に乗れない子は、自転車への憧れが膨らむことでしょう。
この、色んなロケーションで、色んな自転車に乗る楽しさを味わえるのが、この絵本の素敵なところです。
乗り手に合わせた色々な自転車
また、ロケーションだけでなく、様々な自転車のタイプが登場するのも、この絵本の楽しいところ。
ピンクちゃんの乗るスタンダードなママチャリ。
ボンボンの乗る補助輪付きの自転車。
ブタくんの乗るロードバイクのような自転車。
花たちが乗る4人乗り自転車。
など、出てくる自転車が本当に様々。
「ぼくはピンクちゃんと一緒のやつ!」
「私は小さいタイヤついてるから、ボンボンのやつだな~」
「車で行った公園で、4人乗り乗ったことある!」
と、子どもたちも自分の家にある自転車が見つかり共感したり、乗ったことのあるものを見つけたり、かっこいい自転車に憧れたり。
色々な自転車があることで、どの子も自分に合った自転車を見つけられている様でした。
ただ、自転車のバリエーションはこれだけでは終わらず、ファンタジーなものまで混ざっているのもおもしろいところ。
杉の子の自転車は、木でできていたり、
トンネル坊やの自転車にいたっては、タイヤが煙でできていて、ペダルをこがなくても進む、
など、まさに絵本ならではの自転車。
本当にある自転車から、物語だからこその特殊な自転車まで、たくさんの種類の自転車が出てくるところも、この絵本の素敵なところです。
お日さまが自転車に乗るまさかの影響
さて、そんな自転車での散歩を続けていると、とんでもない相手から声をかけられます。
それが空に浮かぶお日さま。
これには子どもたちも、
「お日さま、自転車なんて乗れるの!?」
「その前に、自転車持ってる!?」
「空飛んでるのにどうやって乗るんだろう?」
とびっくり。
これまでとのスケールの違いに驚いていました。
けれど、ピンクちゃんの優しさで、なんとか自転車に乗れたお日さま。
「乗れた!」
「あーやって乗るんだ!?」
と、子どもたちがまたもやびっくり。
こうして自転車を楽しんでいましたが、そこで異変が起こります。
これがなんともお日さまらしいハプニング。
お日さまの役割や、その力の大きさをおもいしらされます。
だからこそ、束の間でも、自転車に乗って楽しい時間を過ごせてよかったと、思うのかもしれません。
お日さまの表情が、とても幸せそうでしたから。
この、お日さまが自転車に乗るというスケールの大きすぎる出来事と、お日さまならではの壮大なハプニングも、この散歩を特別なものにしてくれる、とても素敵でおもしろいところです。
二言まとめ
自転車ならではの、スピードを出す爽快感、坂道を登る大変さ、どこまでも行ける感覚など、自転車の楽しさを余すことなく味わえる。
自分も色んな自転車に乗みたくなる、色んなロケーションを走ってみたくなる絵本です。
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