作:五味太郎 出版:偕成社
かえるくんがやってきた。
威張ったり、手品をしたり、クイズを出したり。
でも、かえるくんはへそ曲がりだから気を付けて・・・。
あらすじ
かえるくんが歩いてきました。
かえるくんはこっちに来るなり、有名なかえるくんだと威張ります。
けんかも強いと威張ります。
と話していたら、手品を見せてくれるかえるくん。
さらにはクイズもしてくれます。
でも、このクイズ、普通に考えて答えると・・・。
『かえるくんにきをつけて』の素敵なところ
- 個性的で気分屋のかえるくんに振り回される
- 初見では絶対に騙されるへそ曲がりクイズ
- 横柄だけどまた会いたくなるかえるくん
個性的で気分屋のかえるくんに振り回される
この絵本のおもしろいところは、個性的過ぎるかえるくんに思いっきり振り回されることでしょう。
出会い頭に、有名だと自慢され、けんかを吹っ掛けられ、怖いかえるだと思ったら、笑顔で手品を見せてくれる・・・。
感情の起伏がジェットコースター過ぎて、初めてかえるくんと会った子はあっけにとられてしまいます。
さらには、こっちの話は全く聞かず、クイズを出したり、自由に振舞ったあげく、急に帰ってしまうのです。
もう、完全にやりたい放題。
こっちはかえるくんに合わせて、振り回されっぱなしです。
でも、これがなぜか心地いい。
ここまで気分屋で傍若無人だと、だんだんおもしろくなってくるのです。
子どもたちも、
「けんかなんてしないよ!」
「それいじわるじゃん!」
などと言いつつも「手品できるんだ!?」と喜んだり、大忙しです。
かえるくんの話に振り回されているうちに、あっという間に終わるお話。
このジェットコースターのような、疾走感がこの絵本ならではの楽しいところだと思います。
初見では絶対に騙されるへそ曲がりクイズ
そんなカエルくんは2問のクイズを出してきます。
この答えがへそ曲がり過ぎるのも、この絵本のおもしろくて悔しいところです。
とんちのような問題に、子どもたちは真面目に真剣に考えて答えます。
が、その答えを聞くと「そんなのあり!?」と言いますが、確かに間違っていないので妙に悔しい。
間髪入れずの2問目は、まさかの答えがない問題。
これにも、今度はとんちの要素まで加味して考えますが、考えただけ損な答えに「えー!?」と非難の声。
絶対に初見では騙されてしまいます。
このルール無視の理不尽過ぎるクイズも、悔しがらせつつ、子どもたちに新たななんでもありの発想のきっかけをくれる、かえるくんらしいとても素敵なところです。
横柄だけどまた会いたくなるかえるくん
さて、横柄で全然話を聞かず、自己中心的なかえるくん。
普通ならもう会いたくないと思ってしまいそうですが、本棚にあるとまた会いに行ってしまいます。
それはまるで、クラスに一人はいる、威張りん坊だけど一緒にいると、新しいこと楽しいことにどんどん巻き込んでくれる友だちのよう。
嫌な思いもするけれど、なぜか一緒に遊びたくなる。
そんな存在なのかもしれません。
この、どこか憎めず、また会いたくなる、遊びたくなる不思議な魅力も、子どもたちを虜にする、かえるくんの素敵なところなのだと思います。
二言まとめ
威張りん坊で自分勝手、こっちの都合など気にしない傍若無人なかえるくん。
でも、話しているとおもしろく、気付けばまた絵本を開き会いに行っている不思議な魅力の絵本です。
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